欧州キリスト教分布図とNATOとロシア

社会・2022-04-21 18:32
欧州キリスト教分布図とNATOとロシア
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世界でもっとも信者数が多い宗教はキリスト教である。信者数約24億人。世界人口の約3割がクリスチャンなのだ。そのキリスト教は大きく三つの宗派に分かれている。カトリック、プロテスタント、そして正教会だ。

欧州において、ざっくりとフランス・スペインなど南欧、ポーランドやチェコなど中欧がカトリック。英・ドイツ・北欧、欧州ではないが米国がプロテスタント。ロシアやウクライナ、ルーマニア、ブルガリアなど東欧は正教会が主に信仰されている。

さて、元々NATOは、カトリックとプロテスタントを信仰している人々が多い地域の国が、正教会を信仰している人々に対抗するために生まれた軍事同盟という見方もできる。

2004年には、旧ソ連圏のバルト三国リトアニアはカトリック。ラトビアとエストニアはプロテスタントでありNATOに加盟。

同年、ブルガリアやルーマニアは正教会だったがNATOに入ってしまった。

ここで一つ。正教会の特徴として、カトリックやプロテスタントと違い、それぞれの民族にそれぞれの正教会がある民族宗教という側面がある。そして2018年、ウクライナ正教会はロシア正教会から独立し断交。

正教会でもっとも勢力が大きいロシア正教会のトップであるキリル総主教にとって、ウクライナ正教会の独立は、プーチンにとってのウクライナのNATO入りと同じような衝撃であったに違いない。

キリル総主教とプーチンは盟友同士で、ウクライナ侵攻をキリル総主教は支持しており、世界のキリスト教会から非難されている。

だがプーチンとキリル総主教にとって、旧ソ連圏からのNATO加盟国が増えていくことと、ロシア正教会の影響下にあった他国の正教会が、西側に行ってしまうことは、一方では政治的軍事的侵略。一方では宗教的・精神的侵略として映っているに違いない。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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