日本・中国の少子化は予定通りであったのに・・・

社会・2023-01-18 18:23
日本・中国の少子化は予定通りであったのに・・・
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中国本土の総人口が、61年ぶりに減少したとのこと。
人口減少は、1961年、毛沢東が行った「大躍進政策」の失敗以来だという。
「大躍進政策」では田畑を豊作にするため、害鳥とされたスズメを大量駆除する政策がとられたが、害虫を食べるスズメを駆逐したため、かえって害虫被害が増え、大飢饉となってしまったのだ。
このときの飢饉で推定1500万人~5500万人が死亡したという。
61前の人口減少は、このひどい人災で起こったものであった。

一時飢饉によって出生率が低下したが、こういうときは反動やら揺り戻しがあるもの。60年代の中国では国民がどんどん子どもを増やしていった。

「ありぁコレ大変、増え過ぎちゃう!」と思ったのか周恩来首相の提唱で、70年代初期に「1組の夫婦に子供2人まで」という『2人っ子政策』をはじめたのだ。

それでも止まらずに70年代後半になると『1人っ子政策』になっていく。

このような政策は何も中国だけではない。
我が日本でも、戦後になるとどんどんと子どもが増えていった。1947年~1949年のベビーブームや、1971年~1974年の第一次ベビーブームや第二次ベビーブームが有名なところだ。

またこの時代、ある程度の年齢になると結婚するものとされていて、いまと違いほとんどの人が結婚した。
60年代の男性生涯未婚率は1~2%程度である。現在のように4人に1人が結婚しないという時代とは違うのだ。

そして一組の夫婦が4~5人の兄弟を生んでいた。
当然人口は増える。
「ありぁコレ大変、増え過ぎちゃう!」と、日本の政治家も思ったのであろう、『人口問題審議会』を立ち上げ『夫婦の子どもは2人までにしましょう』という日本版『2人っ子政策』を敢行した。
日本は人口増、世界的には人口爆発が大問題になっていたからだ。

人口操作というのは、数年で結果が出るものではない。
しかし見よ!
日本も中国もいまになって『2人っ子政策』や『1人っ子政策』が見事な効果を表している。本来なら予定通りと大喜びするはずなのだ。

ところが両国ともいまになって少子化だの人口減少が問題だのと騒いでいる。
そんなことはとっくにわかりきっていたことのはずなのにだ。

70年代に大問題となっていた人口爆発はなくなったのか?
1975年の世界人口はいまの半分、40億人であった。いまは80億人である。

少子化問題というが、いまの日本で昔のようにひと夫婦が4~5人の子どもを産む世の中が本当に理想なのか?

岸田首相は「異次元な少子化対策」と言っておりますけど、それは目先の票や支持率のためではありますまいな。
一国の宰相なら「国家百年の計」とまではいいません。せめて30年後か40年後のことも考えてくださいね。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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