議員除名 逮捕状 ガーシーはなぜ失敗したのか

社会・2023-03-24 23:01
議員除名 逮捕状 ガーシーはなぜ失敗したのか
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ガーシーが、参議院で除名処分となり議員資格を失った。その翌日、さっそく警視庁が常習的脅迫・名誉毀損・強要・威力業務妨害の容疑で逮捕状を取った。

さらに旅券返納命令も出た。もしガーシーが返納命令に従わなかった場合、彼が中東のアラブ首長国連邦(UAE)のドバイにいるとして、不法滞在になってしまう。

アラブ首長国連邦と日本とは犯罪人引渡条約はないが、比較的友好的な国なので、ガーシーを身辺拘束し強制送還となるかもしれない。

あるいは、ガーシーは身辺拘束されない他の国に移るかもしれない。どちらにせよ、ガーシーが日本に帰ってくると、ほぼ間違いなく警察に逮捕されることになる。

ほんの少し前、日本に帰国して国会で釈明していれば、この事態は避けられたかもしれない。そもそもガーシーは28万7714票とって議員になっているのだ。この票数がいかに多いかというと、前回の参院選に立候補した著名人と比べると

・中条きよし(演歌歌手) 4万7420票
・松野明美(元マラソン日本代表) 5万5608票
・水道橋博士(タレント) 11万7794票

ガーシーの28万7714票がいかに多いかがわかる。

ではなぜガーシーはこれほどの票を集められたのか? ガーシーは最初から国会に出ないと言っていたのだ。そして「海外から国会議員のスキャンダルを暴く」と言って30万近い票を集めて当選したのだ。

多くの有権者にとって、議員が国会に出席するかどうかは、あまり関心がない。ガーシー自身、最初から国会に出ないと言っていたので「それではダメだ」と言う人はそう多くないだろう。

このコロナ禍で、我々は会社に出席しなくてもリモートで出来ることを知ってしまったのだ。

ウクライナのゼレンスキー大統領も、リモートでG7に参加するという。岸田首相がコロナにかかったとき、数日間リモートで公務を行ったが、これに文句をいう国民はいない。

ではガーシーは何を失敗したのか? 結局何もしなかったからだ。彼は「海外から国会議員のスキャンダルを暴く」と言って当選した。

ガーシーが国会議員になって半年間、もし国会議員のスキャンダルをいくつか暴いていたら、与野党ともガーシーに処分を下すなどということはできなかったはずだ。

なぜなら、自分たちのスキャンダルを追求している本人を処分するというのは「言論弾圧じゃないか」と言われるので、やりたくても出来なかっただろう。

ガーシーに1票を入れた人は、与党も野党も信用できないので、ある意味ガーシーの政界暴露に期待していた人も多かったことだろう。ガーシーはその人たちも裏切ったことになる。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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