東京女子医大の医師100人一斉退職の裏側

社会・2021-04-22 18:56
東京女子医大の医師100人一斉退職の裏側
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東京女子医大病院に勤務する100人もの医師がこの時期いっせいに退職した。くしくも東京女子医大は、4月14日のNHKスペシャルで取り上げられたばかりで、内容は新型コロナの集中治療室で働く看護師に密着したものであった。

東京女子医大は、最近スキャンダル続きの病院であった。数年前に医療事故を起こし「特定指定病院」の承認取り消しを受けたため患者が激減、さらに有名医師の女子医大退職なども続き、経営が赤字続きとなっており、職員の給与やボーナスをカットして対応していた。ちなみに30歳の医師で基本給は25.9万円であるらしい。

昨年は、「夏のボーナスゼロ」を宣言。看護師400人が辞職すると言い出したので一転、ボーナスを支払ってなんとかつなぎとめた。

本年1月末には、大学が求める感染防止策に反した行為をして感染したり、濃厚接触者になったりした場合、「休業中の給与は無給とする」と職員に通知。

新型コロナの対応で必死に働いている職員は「なぜこの時期にやる気を削ぐことを」と、あきれていることが報道され、国会でも取り上げられた。

このように東京女子医大病院は、以前よりいろいろな問題を抱えている大学病院であった。また女子医大なので、東京女子医大卒の医師が、この大学病院に勤める場合、当然、全員が女医である。

それだと女医ばかりになってしまうので、他から大勢の男性医師も多く勤務している。普通、医科大学から付属の病院に行くと、恩師、先輩、同輩、後輩とつながりができて、ちょっとしたことではその大学病院を辞めにくい。しかし、他からの来た医師にはしがらみがなく、不満があればあっさりやめていく。あるいは、つながりがあると、一緒に辞めていくこともあるだろう。

過去のスキャンダル、低い給与、過酷な現場、職員への病院側の対応のひどさ、このままでは東京女子医大病院が医療崩壊第一号になりかねない。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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