孤独死の問題は孤立と孤独 発見までの平均日数は14日

社会・2023-03-25 23:42
孤独死の問題は孤立と孤独 発見までの平均日数は14日
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『日本少額短期保険協会』の第6回孤独死現状リポートによると、孤独死の定義とは「自宅内で死亡した事実が死後判明に至った1人暮らしの人」であるという。

このリポートによると、【孤独死者の平均年齢は男女とも約61歳】と、驚くほど若い。この約61歳がどういうことを表しているかというと、孤独死をする人の半数が61歳になる前に亡くなっているということだ。孤独死者の死因については・・・

・病死が男67.8%、女63.4%ともっとも多い。
・次に多いのが自殺だが男8.1%、女13.0%。

全国民の自殺の割合が1.4%であることと比べれば、孤独死の自殺の割合が突出して高いことが分かる。

一般に自殺の男女差は、男が女の倍ほども多いのに、孤独死の場合女性が多いというところも気になるところだ。女性の自殺の場合、29歳以下がおよそ4割を占める。

コロナ禍になってから、若い女性の自殺が増えたと報道されていたが、孤独死においてはコロナ以前から、若い女性の自殺は多かったのだ。その背景には女性の収入の低さや親子や家族との不和、職場の人間関係から心の病気になるなどがあるという。

孤独死者が何日ぐらいで発見されるかというと、男女とも平均発見日数は17日であった。

・第1発見者は、職業上の関係者による発見がおよそ5割。そのうち24%が、不動産管理会社や オーナー等が第一発見者となっているようだ。
・次に親族や知人・友人が全体の約4割。
・他人が発見するのは1割ぐらいだ。

孤独死者がどのような原因で発見されるかというと、音信不通による訪問が56.1%、発見までの平均日数は14日。
・異臭や部屋の異常は56.1%、発見までの平均日数は23日。
・家賃の滞納は9.8%、発見までの平均日数は28日となっている。

『国立社会保障・人口問題研究所』によると、2025年には6人に1人が単身者(1人暮らし)になるという。

1人暮らしはこれからも増えていくだろう。孤独死は決して他人事ではない。

孤独死は今後もっと大きな社会問題になってくる。しかしその前に、1~3日ぐらいで発見される人と何十日、何カ月も経ってから発見される人がいる。

何十日、何カ月も経ってから発見される孤独死者の背景には、孤独と孤立がある場合が多いと考えられる。それも大きな問題ではないだろうか。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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