いまなぜ北朝鮮はミサイルを連射してくるのか?
社会・2022-01-31 18:18北朝鮮のミサイル発射が止まらない。1月31日の段階で7発ものミサイルを日本海に撃ち込んでいるのだ。
北朝鮮の目的は何か? なぜいまになって連続して撃ち込んでくるのだろうか?
一つの理由として、本年3月9日にある韓国の大統領選に対するアピールがある。リベラル系与党であり現在の文大統領の後継である、与党「共に民主党」候補の李在明(イ・ジェミョン)と、保守系の最大野党「国民の力」候補の尹錫悦(ユン・ソクヨル)が、激しく競り合っている。
リベラル系の李在明候補なら平和的。保守系の尹錫悦候補なら敵対的になると考えられている。北朝鮮事情に詳しい専門家が言うには、現段階において韓国は敵対的であったほうが、金正恩体制にとってありがたいという。
北朝鮮国内において、韓流ドラマやKポップが中国経由で入っている現在、韓国に憧れたり親近感を持つ北朝鮮国民が増えるということは、金正恩体制に不満を持つ国民が増えるということであり、これは金正恩総書記が最も恐れていることの筆頭でもある。
ゆえにミサイルを連射することで、韓国の国民にも北朝鮮の国民にも、緊張状態を持たせることが望ましい。
また、外貨がほしい北朝鮮は、高性能のミサイルを全世界に披露することで、中東や途上国にミサイルを売り込むことができる。
そして何より核による抑止力と交渉力がほしい。米朝首脳会談が実現した2018年はミサイル発射を行わなかったが、決裂した翌19年は25発の発射実験をしている。北朝鮮にとってミサイル発射は対話の一つでもあるのだ。
今年4月に金正恩体制が10年の節目を迎える。今年は金日成の生誕110年、金正日生誕80年と特別な年でもある。究極のかまってちゃん国家は、今後もミサイル発射を続けるであろう。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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