死後の世界はあるのか?

エンタメ・2022-12-01 18:27
死後の世界はあるのか?
閉じる

「死後の世界はあるのか?」という問いは、ホモ・サピエンスが誕生した時からの問いであろう。
おもしろいことに宗教によって、死後の世界は様々だ。

仏教では死んだら輪廻転生、つまり生まれ変わるという。
古代の日本では、『日本書紀』に根の国、「古事記」には黄泉の国という地下に死者の国があるという。

キリスト教では死んだ者は世界が終わるときに復活し、最後の審判にかけられて裁きを受ける。救われた人は神の国で肉体を与えられて永遠に生き、そうでない人は永遠に業火に焼かれる。
イスラム教も最後の審判を受け、天国か地獄行きがきまる。

しかし、同じ宗教、例えば仏教でも、浄土宗などでは、自力で成仏できない人も、念仏を唱えると、阿弥陀仏の救済力で極楽に往生できると説く。
キリスト教のカトリックでは、煉獄(れんごく)という天国には行けなかったが地獄にも墜ちなかった人の行く中間的なところがあるとしているが、プロテスタントや東方正教会では否定している。

などなど、いろいろな死後の世界があり、統一されていない。

死後の世界は、もちろん科学的に証明されていない。
『統計数理研究所』の調べでは「死後の世界を信じるか」と言う問いに

1958年「信じる」19%
2008年「信じる」38%
2013年「信じる」40%

と、昔より現在の人の方が倍も信じている人が多いらしい。
2013年だと、男性が30%に対して、女性は49%と、女性の2人に1人が死後の世界を信じているという。

日本人の場合、なんとなく「霊」や「魂」を信じている人が多いのではないだろうか?
2013年、インターネット調査のネオマーケティングが「ホラーに関する調査」をしたところ、「幽霊の存在を信じるか」という問いに57.4%が「はい」と回答している。
どうやら半数以上の人が「幽霊」を信じているらしい。

「心霊体験」の経験率は18.8%。5人に1人近い人が心霊体験をしているらしい。
もし幽霊が死後の人だとすると、死後の世界を証明する手掛かりになりそうだが、残念ながら、幽霊の物理的証明はまだなされていない。

結局、「死後の世界」がもしあったとしても、「死んでみないとわからない」というわけだ。
もし無ければ、もちろんわからない。

イスラム過激派の自爆テロは、死後の世界を信じてのことだろう。
「どうせ地獄行き」あるいは「死後の世界などない」と信じて大量殺人をする者もいる。
その一方、死後の世界を信じて善行をする人もいる。

死後の世界があるかないか、信じるか信じないかより、いまの思考・言動が一番大事なのかもしれない。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

関連記事
関連タグ
エンタメ新着記事