日本人はもうマスクを放せない? マスクと日本人の3年間
社会・2023-01-16 18:21新型コロナが流行してもう3年になる。
異様な3年であった。
あるときはデマのためトイレットペーパーがなくなり、そしてマスクや消毒液が店舗から消えた。マスク不足のとき政府は布製マスクを全世帯に配ろうとしたら、髪の毛など異物混入、カビが生えていたといった問題が相次ぎ、配布が中断されたりし、ほぼ配り終わったころには、普通にマスクを購入できるようになっており、朝日新聞の世論調査では「役に立たなかった」という評価が81%であった。
2022年の夏では、体育や部活動の時間では熱中症予防をコロナ対策より優先し、児童生徒に「付けなくていい」とした。
また一般の人に対しても屋外では季節を問わず、マスク着用は原則不要とし、政府も積極的に「屋外ではマスク不要」とPRした。
しかしいまだにほとんどの人は、屋外でもマスクをして移動している。
流行りだした当初は、クラスターの発生源として飲食店が悪役となった。
マスコミも飲食店をさんざんに叩き、また食事中もマスクをして、一口ずつ食べ物を口に運ぶときだけマスク外すようにすすめていた。
しかしいまはどうだろう。人々は「マスクはしなくていい」という屋外でマスクをして、いざ飲食店に入るとマスクを外して会食する。
本来なら、本末転倒とはこのことだ。
コロナが流行する前から日本人はマスクが大好きな国民であった。
最初は大正時代に流行ったスペイン風邪のときに広まり定着した。
2003年、SARS(サーズ・重症急性呼吸器症候群)のときも日本でマスクは売り切れ状態となった。
新型コロナが流行する以前から、「だてマスク」といって顔を隠したり、メイクをしなくていいなどの理由から、一年中マスクをしている女性たちがいた。
2010年頃から流行していた「だてマスク」は自分の自信のなさを隠し、コミュニケーションを避けるために生まれたものだという。
対人恐怖症というのは日本独特の病気らしいが、そういう人にとってマスクはありがたいアイテムなのかもしれない。
1980年代から花粉症が広がり、春にはマスクをするのが当たり前になっていた。
特に今年は、過去10年間でスギ花粉の飛散量が10倍というから、3人に1人が花粉症という我が国では、ますますマスクが離せなくなるだろう。
どんな流行病も、いつかは収まる。
しかしそのときが来ても、日本人はずっとマスクをしているのではないだろうか?
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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