いまじゃ考えられない昭和のモノスゴいアニメや漫画たち

エンタメ・2023-03-17 10:55
いまじゃ考えられない昭和のモノスゴいアニメや漫画たち
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「昭和のアニメや漫画はスゴかった」といっても、平成生まれの人にはピンとこないだろう。いまの社会常識では、考えられないような描写が昭和の時代には当たり前にあったのだ。

例えば永井豪の「デビルマン」では、味方であるはずの人間に、ヒロインが首を切られ串刺しにされたりする。「ハレンチ学園」という漫画では、スカートめくりの描写があり全国の小学生が真似をして問題になった。他にも「あばしり一家」という家族全員犯罪者の漫画があり、エロ・暴力・ギャグ満載の少年向け漫画もあった。

なかでもかなりどぎついのが、花登筺原作・梅本さちお作画の『アパッチ野球軍』だ。四国の過疎の村で若いコーチが野球を教え、最終的には甲子園を目指すというストーリーだが、まず登場人物の名前がひどいw

網走、ハッパ、モンキー、材木、オケラ、ダニ、ダイコンなどなど。これ全部野球部員のあだ名なのだ。ちなみにダイコンというのは女子部員で、大根足からきている。

網走(あばしり)の父親は、かつてヤクザに片目を撃ち抜かれるが、同時にやくざを刺し殺して10年間網走刑務所に服役していたのが自慢。

ハッパは葉っぱではない。ダイナマイトのことで、ハッパ少年はダイナマイトを盗み出してコーチに向かって投げつけ殺そうとする。

モンキーは山で猿に育てられたという設定だ。

そして第1回目から、女教師を生徒が強姦しようとするといういまではありえないような漫画でありテレビアニメであった。

昭和の漫画やアニメと言えば「スポ根」というジャンルがある。スポーツ根性ものの作品だ。

昭和の「スポ根」漫画やアニメといえば、イコールしごきである。野球だろうがバレーボールだろうが、指導者が少年少女に、立てなくなるまでボールをぶつけるなんて当たり前。

しかしそれでも唇から血を流し、目から涙を溢れさせながら「クソッ」と立ち上がるシーンを見て、当時の子供たちは「根性がある。見習わないと!」と思い、大人は「この指導を見習おう」と思ったとか思ってないとか。

少なくとも、いまなら大問題の「しごき」のシーンや指導者が子どもに「ビンタ」をはるシーンはごく普通に描かれていたのだが、クレーム等もなかった。それどころか創価学会の池田大作会長は、自分の講演でスポ根漫画を取り上げ、根性の大切さを説いたという。

梶原一騎原作の名作「巨人の星」に出てくる「大リーグボール1号」は構えたバッターのバットにボールを当てて凡打に仕留める魔球だが、どう考えても危険球で反則である。しかし昭和の漫画やアニメは、そんな細かいことは気にしないのだ。

他にもメチャクチャな漫画やアニメはたくさんあったが、これらの常識破りの漫画があって、いまの世界に誇るジャパンアニメやコミックへと進化してきたのである。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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