昭和ノスタルジー 昭和30年代は日本の古き良き思い出の時代

エンタメ・2023-01-27 18:35
昭和ノスタルジー 昭和30年代は日本の古き良き思い出の時代
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「ノスタルジー」とは、「郷愁」や「懐古」、「追憶」という意味、戻ることのできない時代を懐かしむ気持ちのことだ。

「昭和ノスタルジー」とは、主に高度成長期であった1950年代から70年代あたりのことをさす。

中でも日本人にとって昭和30年代(1950年代後半から1960年代前半)は特別なものであるらしく、昭和ノスタルジー漫画の金字塔「三丁目の夕日」はこの時代を舞台にしている。

そして漫画「三丁目の夕日」は、驚くべきことに1974年(昭和49)に『ビッグコミックオリジナル』(小学館)で連載がはじまっており、いまだ最終回にはいたっていない。

すでに昭和49年から昭和ノスタルジーははじまっており、約50年たったいまも昭和30年代を懐かしむ漫画が続いているというのは、考えてみればとても不思議なことと言っていい。

ノスタルジーとは過去を美化することで生まれるが、実際の昭和30年代は、日本国中ヤクザの花盛りで、昭和38年がもっとも暴力団員が多かった時代なのだ。

ヤクザだけではなく一般人も荒れていた時代である。
殺人発生件数のピークは昭和29年、傷害は昭和33年、強姦発生件数のピークは昭和39年である。

殺人に関しては、発生件数ではなく殺された人の数では昭和30年が戦後最多であり1932人。令和3年では256人である。

また、現代と昭和30年代の大きな違いにタバコの扱いがある。
都市部の通勤電車以外、電車内でタバコが吸えたのだ。電車だけではなく飛行機内でもタバコが吸えた。
それどころか、学校の先生がタバコを吸いながら授業をするなんてことも珍しいことではなかったし、病院の待合室には灰皿が用意されていた。

オートバイでヘルメットはしなくてよかった。自動車もシートベルトもしなくてもよかった。だから交通事故で簡単に人が死んだ。
交通事故死亡者数は、1970年(昭和45)は1万6765人もいたが、2020年(令和2)は2839人である。

しかしノスタルジーに浸っている人にこれらの現実は無用であろう。
友だちと駄菓子屋に行き、空き地で野球をやったり少年漫画雑誌を回し読みし、夕方や夜はアニメや特撮を観る。
ドラえもんに出てくるような土管のある空き地、サザエさんとその家族・・・

郷愁や追憶は美化される。
ただ昭和ノスタルジーや昭和レトロはそれだけではない。
昭和を知らない現代の10代20代の若者にも人気があるのだ。
彼らは言う「懐かしい」と。

高度成長期は、1955年~1973年(昭和30~48)まで。「三丁目の夕日」の連載は1974年(昭和49)からであることを考えると、高度成長がおわったときから、昭和30年代は古き良き思い出の時代となったのだろう。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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