人間を縛る時間の発明は人を幸せにしたのか
エンタメ・2023-01-17 18:23時間というものは不思議なものだ。
なんでも宇宙のはじまりであるビッグバンが起こる以前は、時間など存在していなかったらしい。
アインシュタインが友人あての書簡の中で「過去・現在・未来という考え方は幻想にすぎない」と書いており、そしてフロイトによると「無意識において時間は存在しない」という。
うん、なんだかよくわからない(笑)
人間が時間というものを発明したとき、人は過去というものを意識するようになった。
過去を意識することによって、人間は思い出や歴史を持つようになる。
思い出や歴史を持つということは「過去に対する後悔」も一緒に持つということである。
そして人間は過去に縛られるようになった。
ほとんどの人は、過去に縛られ、過去をやり直したいと思っている。
残念ながら時間を巻き戻すことができないと知り、修正可能な過去を想像した。
それが未来である。
つまり「過去は変えられないが、未来は変えられる」というわけだ。
ではなぜ人は過去をもう一度やり直したいと思うのだろうか? 過去に「失敗」や「後悔」があるからだろう。
それは「満足しなかった欲望」と言えるかもしれない。
人間の行動原理はそのほとんどに欲望が関係している。
無償の愛も欲望なら、腹が立つ、ぶん殴りたいも欲望。あなたがイヤイヤやっている仕事も、回りまわって欲望が関係している。
その欲望が満足できなかったとき悔いが残る。そして修正可能な未来を空想する。
未来はやがて現代になり、過去になるのだ。
過去を作ることで未来を想像した人類は、暦を作り出す。いつごろ畑に種を撒くべきか、雨の多い月はいつかなど、過去から学び未来に生かそうとしたのだ。
やがて人は1年を365日とし、それを12カ月に分け、1日を24時間ということにした。
産業革命が起こった時、労働者にも革命的なことが起こった。
時給や日給といった「働いた時間」の分が賃金になるという発想だ。
そして工場では時間厳守となり、遅刻は許されないものとなった。
人間は時間に縛られて生きるようになったのだ。
これも人間の欲望に関係していると言えよう。
未来を発明した人間の中には、いまの生活は仮の姿で、本当の姿は未来にあると思っている人もいる。
未来のためにいまの欲望を必死で我慢し、たくさんのお金を貯めたあげく使わずにポックリと逝ってしまう人もいる。
過去に学ぶのは大切だ。未来に備えるのも悪くない。しかしいまの瞬間の時間を犠牲にするのはどうだろう?
人間は時間を発明したが、時間は必ずしも人を幸せにしたとは言えないのかもしれない。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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