ロクな装備がなくても戦い続けるロシア軍は強いのか弱いのか?
社会・2022-10-09 18:11ロシア軍の30万人動員で、銃などの装備が足りないとは聞いていた。しかしそれどことかヘルメットや防弾チョッキなどが支給されず、自分で用意しなければならない状態だという。
支給される迷彩服は旧ソ連製だというから、30年以上前のものだ。これから冬を迎えるわけだから、防寒・暴風に優れた迷彩服を自分で購入する人もいるらしい。ヘルメット、防弾チョッキといった基本的な装備を支給できないということは、この動員が相当にずさんであり、また新しい装備を用意する経済的余裕がないことを示唆している。
というか、ロシア政府は動員した兵士たちに、給料を払うことができるのだろうかと余計な心配をしてしまうくらいだ。
さらにロシアは2008年のリーマンショックの時、金食い虫である兵役を2年から1年に短縮している。1年の兵役期間だと、基本的な軍事訓練を受けるのが精いっぱいだ。そして10代~20代の全員が1年しか訓練を受けておらず、30代前半の動員兵の多くも同様である。
しかも2年間の訓練を受けた世代は、10年以上のブランクがある。そのためある程度訓練をやり直したいところだろうが、いまのロシア軍にその余裕は失われつつあるらしい。
重い装備を背負い、規則正しく移動するということだけでも、ある程度の訓練が必要なのだ。それすらできないとすると、せいぜい弾除けくらいしか役に立たない。第二次世界大戦において、旧ソ連軍は1360万人以上の戦死者を出しているが(日本軍が230万人だったことを考えるといかに多いかがわかる)、その理由の一つには、当時のソ連の指導者スターリンが役に立たない兵や弱い兵を最前線やもっとも危険な戦場に送り込み突撃させ、事実上の弾除けに使ったからだ。そのスターリンを尊敬しているのがプーチンである。
今回のウクライナをおいても、恩赦を餌に数千人の受刑者を兵士にしたが、ロクな訓練を受けていない上、最前線に送られてほぼ全員が死亡したという。どうも弱い兵を危険地帯に送るというのは、旧ソ連から続くロシアの伝統であるらしいが、今回の動員兵にそれをやらないかと、またも余計な心配をしてしまう。
またロシア軍は侵攻時から、兵站に難があり食料の支給が滞ったりしていることが報じられてきた。それはいまも続いているらしく、動員兵の中には、食料がないので、皆でお金を出し合って近くの村で、食料を調達して飢えをしのいでいるという。
また、動員兵の兵舎にベッドが足りず床で寝たり、中には兵舎そのものが用意されておらず、塹壕を掘って野宿を余儀なくされる兵も出てきたという。
いまや動員令から逃れようと、すでに22万人~26万人以上が海外に脱出し、その数は止まりそうにない。それにしてもウクライナ戦争がはじまって7カ月。ろくな装備や食料もなく戦い続けているロシア兵は強いのか弱いのか・・・。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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