中国を強くしたのは実は米国であった
社会・2022-01-18 18:12いまや世界覇権を狙うくらいの軍事力と経済力を身につけた中華人民共和国。その中国を強くしたのは、米国であった。
米国が、70年代に米中国交正常化したのは、中国を強くすることでソ連をけん制し、また経済的にも上がってくれば、やがて民主化するだろうという甘い期待があった。この期待はオバマ政権末期まで続き、最近になってやっと目が覚める。
第二次大戦後、米国は中国に対して、ある大きな誤解をしていた。それは「中国は覇権をもくろんでいない」というものだ。戦後中国は貧しく遅れた国で、ソ連から多くの支援を受けていた。しかし60年代になると、ソ連と中国は対立するようになる。
ここで米国と中国にとって、ソ連が共通の敵となった。米国は中国を支援しても自分たちの敵にはならないと判断。また中国もニクソン大統領を北京に招待するなど、両国は急速に近づいていった。
当時の米国は、ソ連という巨大な敵と対するために、中国が強い方が、都合がよかったのだ。そしていくら中国が近代化しても、米国には追い付くまいとたかをくくっていたし、10億人以上の経済市場も魅力的であった。
その後米国は、ダライ・ラマへの支援を打ち切り、台湾を切り捨て、あらゆる最新の科学技術を中国に提供、軍事情報を教え武器の輸出などを行った。米中連携の効果は大きく、91年にソ連は崩壊する。
しかしそれでも米国は中国への支援をやめなかった。これは米国だけではない。EUも日本も中国を支援し続けた。日本が中国へのODA(経済援助)をやめたのは2018年である。
米国は、天安門事件の虐殺や少数民族迫害を知りつつ、いつか中国は民主化に目覚めると無邪気に期待と誤解をし、大きなモンスターを育ててしまったのだ。米国がその過ちに気が付いたのは、つい最近のことなのである。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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