なぜ世界一病床数が多い日本で病床不足が起こっているのか?
社会・2022-02-01 18:27新型コロナでもっとも心配しなければならないのは、全国にいる重症者、ついで中等症者に十分な医療を受けてもらうということだ。日本は1人当たりの医者の数も、病床の数も世界でダントツに多い国なのだ。それなのに病床のひっ迫、医療のひっ迫が起ってきた。なぜか?
実は、その多さが日本のコロナ対策の足を引っ張っていると言われている。簡単に言うと、日本は医者が一人しかいないような病院やクリニックがとても多いのだ。
するとどうなるか? コロナ禍以前から、救急車のたらい回しで亡くなる人のことが問題視されてきた。いくら町にクリニックがたくさんあっても、救急医療を受け入れる病院というのは一部しかなく、特に深夜になると町のクリニックはみんな閉まっている。よって、救急車のたらい回しが起こってしまう。
東京都の病床数は約12万8000床ある。しかしコロナが流行り出した2020年5月の段階で、コロナに対応できる病床は全体の4%以下しかなかったのが実状であった。
さらにコロナはいまだに指定感染症の「2類相当」に分類されたままだ。すると風邪程度の症状しか出ていない患者も、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)と同じレベルの隔離措置では、当然、医療ひっ迫の原因となる。
また、日本の病院の7割が民間で、公立病院は3割しかない。これは政府や自治体が「緊急事態だから病院は流行病に対応しろ」といえるのは、3割の公立病院しかないということ。この3割の中でも未知なる流行病、特に重症者に対処できるのは、さらに少数になるだろう。
このようなシステムの不備のため、第5波では入院できない患者が多く出て、自宅療養者が200人以上死亡するなどの事例が起こってしまった。
新型コロナはやがて収束するだろうが、これらの不備をいま学び改善し、次なる感染症流行に備えるべきだろう。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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