衰退する中国 高齢化と若者の失業率

社会・2023-02-16 18:57
衰退する中国 高齢化と若者の失業率
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ほんの数年前まで「このままでは世界の覇権国になるのではないか」と言われた中国が急速に衰退していっている。土地バブル崩壊、ゼロコロナ政策による経済的打撃、そして人口減少と、いい話を聞かない。

人口減に関しては2022年末において、1961年以来前年と比べて人口が減った。
1961年の人口減少は、毛沢東の『大躍進政策』の大失敗で大飢饉が起こったためであり、今回の人口減少は、急速な少子化によるものだ。

もともと中国は1979年から2016年まで、一人っ子政策を実施しており、2人目を生むと罰金という厳しいものであった。
しかし人口減少問題に気が付いた中国政府は、2016年に第2子までを認め、2021年には第3子まで認めると政策を緩和してきた。

しかし時すでに遅し、30年以上続けた一人っ子政策の間では女児を妊娠したら、間引きや中絶などがあり、いまや中国の若者は男余り状態になってしまった。
当然、余った男性は結婚できない。特に農村部では深刻だ。

また中国の結婚式はかなりお高く、中国人のサラリーマンの平均年収は170万円に対し、彩礼(結納金)などが300万円くらい、披露宴は140万円以上と、合わせると年収の倍以上がかかるため、結婚をためらう人も少なくない。

その一方、1962年から1975年が中国のベビーブームであり、この間に約3.6憶人もの人口が増えた。いま50~60代はじめの人たちだが、20年もするとこの人たちの高齢化が大きな問題となってくる。
現在2億7000万人いる高齢者は、2025年には人口の20%の3億人を超え、2035年になると、人口の30%以上の4億人を超えるという。

また農村部では若者が都市部に出稼ぎに行くため、高齢者の介護をする人が足りない状態であるらしい。

では出稼ぎのため都市部に出た人はどうかというと、この人たちを「農民工」というが、2億8000万人以上いる。中国経済の底辺を支えているのがこの農民工だが、その収入は低い。

他にも中国における若年層の失業率は20%近くある。
若者の失業率の高さというのは、社会の安定や国力を左右する大きな問題なのだが、ある研究者によるとこの状態はあと10年ほど続くという。

人口減は中国経済にも影響すると予想され、日本経済研究センターの2020年の予測だと「2028年には中国のGDPが米国を超える」とされていたものが、2022年の予測になると「中国が米国を超えることは難しい」となった。

これは米国の場合、人口減で労働人口が減る中国と違い、移民で労働力が落ちないと考えられているからだ。

少子高齢化問題は日本も同じだ。
当然日本のGDPも落ちてくるだろう。日本の場合、日本全体のGDPは落ちても、1人当たりのGDPが上って行けばと思っているのだが、日本の政治家先生はどう考えているのだろうか?

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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