ペットに無責任な日本人
エンタメ・2021-11-07 13:00長野県松本市のペット業者が、1000匹ものイヌを飼育、虐待したとして、警察が元社長と従業員を動物愛護法違反の疑いで逮捕した。元社長は「人手が足りなかった」と語ったというが、イヌたちは糞尿まみれの劣悪な環境で、死ねば糞が入った袋に入れられ、燃えるゴミとして捨てられていたというから、無責任極まりない話だ。
イヌとヒトとの付き合いは長い。イヌは石器時代からヒトとタッグを組むようになった。面白いことにヒトは何種類かの動物を家畜化したが、主な家畜で肉食獣なのは、イヌとネコだけである。
イヌは狩猟の相棒となり、夜は野獣から我々を守ってくれた。おなじ人類であり、我々ホモ・サピエンスより知性が高く、肉体的にも屈強であったネアンデルタール人はイヌとタッグを組まなかったから絶滅したのではないかという学者もいる。
もしイヌが地球に存在しなければ、我々もネアンデルタール人と同じように絶滅していたかもしれない。
文明史的に見れば、牧畜民や狩猟民に比べて農耕民はイヌをあまり大切にしない。牧畜民や狩猟民にとって、イヌは相棒だが農耕民族にとっては、番犬くらいにしかならないからだ。特にコメのような狭い土地でも収穫が多い地域では、イヌはしばしば食料にされてしまっていた。
日本人の中には中国人や韓国人は、イヌを食べると軽蔑する人がいるが、日本人がイヌを食べなくなったのは、敗戦後に欧米のモラルが入ってきてからで、昭和後半までイヌを食べたことがある日本人は多くいた。
また生まれた子犬を段ボール箱に入れて川に流したり、捨ててしまう人も当たり前のようにいた。イヌやネコの殺処分が急速に減りだすのは、平成の後半くらいからで比較的最近のことなのだ。
コロナ禍でペットを飼う人が増えたという。流行り病はやがて収まるがその後も責任をもって飼い続けてほしいものだ。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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