政治に興味がない人は選挙に行かないほうがいいの?

社会・2021-10-29 10:38
政治に興味がない人は選挙に行かないほうがいいの?
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国政選挙になると必ず話題になる若者が選挙にいかない論争。投票率が低い論争。一般的に投票率が低いと、組織票を持っている党が有利と言われている。

組織票とは、選挙で労働組合、宗教団体、業界団体などが、まとまって特定の政党や候補者に投ずる票のこと。各党の会員はもちろん、自民党なら経団連や医師会。公明党なら創価学会。立憲民主党なら労働組合系や日教組などなど。

こういった組織票は、ある程度投票数が読めるので、自民党のようにたくさんの岩盤支持者や組織票を持っているところは、若者や無党派層が投票に来ないほうが有利になる。かつて森喜朗元総理は「(選挙に関心のない有権者は投票日に)寝てしまってくれればいい」と発言したが、それは、その方が自民党に有利になるからだ。
(ただし現在の若者層は圧倒的に自民支持者が多いため、若者が選挙に行くほど自民は有利になる)

その一方で、「政治に興味がない人が投票しても、タレント候補や耳にやさしいことを言う候補に入れるだけ」という人もいる。

確かに米国で、かつてトランプ大統領が選挙戦で勝利できたのは、政治的な理解が低く、これまで投票率が低かった白人中高年たちが、トランプ氏に投票したからだと分析されている。ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーは公正な選挙で選ばれた男だ。

トランプ氏やヒトラーの政治手法をポピュリズム(衆愚政治・大衆迎合政治)という。トランプ氏は貧しい白人層に、ヒトラーは戦争に負け、誇りを失い貧困にあえぐドイツ人に、耳ざわりのいい言葉を使って支持された。

また、トランプ氏は「移民が悪い」、ヒトラーは「ユダヤ人が悪い」と、わかりやすい悪者を作り上げることで、多くの支持を得た。

選挙で国民の代表を決める民主主義は、こういう危険があるのも事実。ポピュリズムに陥らないためには、国民一人一人が民度を上げ、よく考えて選挙に行くしかない。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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