中国が覇権国になれないもう一つの理由
社会・2022-02-04 19:10北京五輪がはじまり、世界の目は中国に集まっている・・・、が、その注目は好意的なものばかりではない。いま、中国は世界でもっとも嫌われている国の一つになっている。
米国など、他国に強い影響力がある国は好かれると同時に嫌われることも多くなるが、中国に関しては、嫌われる要素が多く好かれる要素は少ない。パリに本社を置く大手調査会社イプソスが昨年10月に発表した「国家ブランド指数」ランキングに、中国はベスト20にも入っていない。ちなみにこの調査では日本は3位、米国は8位であった。
20世紀になり、電波などを使い情報がたちどころに世界中に伝わるようになると、それまでのように、単に武力や経済力だけで世界覇権を掴むことは難しくなった。
20世紀の後半は、米国中心の自由主義陣営とソ連中心の社会主義陣営争いとなり、米国が勝利した。その理由は様々あるが、その一つに【イメージ】の違いがある。米国は【自由】や【楽しそう】【アメリカンドリーム】といった明るいイメージを音楽や映画、テレビなどを使って世界に発信した。
米国など西側諸国の派手で愉快な【ロック音楽】は、ソ連など東側の若者たちをも魅了した。東側の国家はそれらを発禁としたが、若者たちは秘かに輸入したりコピーしたりしてロックを聴き西側に憧れた。
1987年、ロック・ミュージシャン、デヴィッド・ボウイが、ベルリンの壁の西ベルリン側でコンサートを開催。このとき会場に設置されたスピーカーのうち4分の1は、東ベルリンに向けられ、数千人の東ドイツの若者が集まり逮捕者まで出た。西側に憧れた人々がベルリンの壁を壊すのは2年後のことだ。
いま、世界の若者で中国に憧れ、中国に住みたいと思う人はどれほどいるだろうか? 北京五輪でどれだけ【中国は凄いんだぞ】とアピールしたところで、そう多くはないだろう。情報化の時代、イメージの悪い国は世界の覇者にはなれないのだ。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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