人の交流を委縮させる新型コロナの悪魔的社会現象

社会・2021-02-16 18:51
人の交流を委縮させる新型コロナの悪魔的社会現象
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新型コロナの流行で増えたものがある。女性の自殺と小中高校生の自殺だ。小中高校生の自殺は、前年比の41.3%も急増した。

新型コロナの怖さは、単に疾病としての怖さだけではなく、一種の社会現象として、女性や若者に限らず全世代の多くの人を圧迫している。

例えば、いまやテレビや新聞といったマスメディアでは、毎日「本日の感染者は●●人、重症者は●●人、死亡者は●●人でした」と報道し「いま医療はひっ迫しています」と続く。

当然、多くの人が不安になり、自粛警察、帰省禁止、他県ナンバー狩り、マスク警察が登場した。国民が国民を監視するようになったのだ。

『日本うつ病学会』によると新型コロナについて、第一の感染症として「生物学的な疾病(いわゆる感染)」から、第二の感染症として「心理的感染症(感染に対する不安や恐怖)」、さらにそこから第三の感染症、「社会的感染症(不安や恐怖から「差別が偏見」)が出現するとある。

つまり新型コロナは身体の感染症から【心理現象・社会現象】として蔓延しているのだ。

これらの原因はコロナによるストレスだが、新型コロナウイルスが悪魔的なのは、そのストレスの発散・解消の場も奪っていることである。

それは女性や子どもだけではなく、全世代においても、ストレス発散や解消の一番は睡眠と他人との楽しい交流なのに、会食を誘っただけで誰かから攻撃されるかもしれないと委縮してしまう世の中になった。

前述した小中高校生の自殺の急増は、もっとも弱い立場の子どもにそのしわ寄せが行っているからかもしれない。

新型コロナは、感染だけでなく人々の日々の楽しみを奪い、相互監視を生んでしまった。これは感染への恐怖だけではなく、経済的不安に加えて、友人との交流を封じられ楽しんで生きることへの委縮など、悪魔的社会現象を生み出している厄介な病と言えよう。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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