日本はウクライナ戦争から何を学ぶべきなのか
社会・2022-06-15 18:012月にはじまったウクライナへのロシアの侵攻は、もうすぐ4カ月になろうとしている。ここに来て、ウクライナの苦戦が報じられるようになってきた。我々日本人は、遠くユーラシアの西側で行われているこの戦争から、何を学ぶべきなのだろうか?
ひとつはこの広い世界には、プーチンのようにいまだ19世紀や20世紀型の領土拡大を目指している支配者がいることを知るべきだ。
プーチンの目的は、「旧ソ連邦やロシア帝国への回帰」である。ソ連崩壊後、東側とされてきた国や民族が次々と独立した。プーチンは旧ソ連やロシア帝国時代の失った「土地」を再び手にしたいと願っているようだ。
日本でいうならかつて侵略して支配していた満州や東南アジア諸国を再び取り戻したいというのと一緒である。
またプーチンの頭の中にある「国」は、民主国家の「国」とは思想が違う。民主国家の「国」は国民の生命財産を守るためにあるが、プーチンや習近平、金正恩の「国」は「国体(国の体制)を守るために国民がいると考える。
プーチンにとって、ウクライナはロシア帝国時代もソ連時代も、ロシア領であったのでロシアの支配下にあって当然であると考えている。これは中国の台湾に対する考え方と一緒である。
ウクライナの場合も似たところがある。ロシアが侵攻してきた当初、ゼレンスキーは女性たちに火炎瓶を作ることを命じた。これは太平洋戦争における日本女性の「銃後の守り」とおなじであり、18~60歳男性の出国を禁止し「望む国民には武器を提供する」と発言、徴兵制も復活させて『国民皆兵制度』にした。
そして東部・ルハンシク州のセベロドネツクについて、ゼレンスキー大統領は「明け渡さない」とし、兵士たちに「死守」を命じたという。戦っているウクライナ兵が正規軍か民兵かはわからないが、「死守」とは「総員玉砕せよ」であり「生きて虜囚の辱(はずかしめ)を受けず」というのに近い。
私たち日本人は、今現在行われているこの戦争から何を学ぶべきなのだろうか? まずプーチンのように、まるで昔の戦国時代のごとく「土地争い」をしてでも領土を広めたいと思っている国や権力者が現実にいるということを知るべきだろう。
戦争に巻き込まれないために最大限の外交努力をするのは当たり前として、それでも戦争を仕掛けてくる国があるのだ。
もし現実に侵攻してくる国がいた場合、日本はウクライナのように国民皆兵制度を復活させ、国民も銃を手にするべきなのだろうか?
もし中国が台湾侵攻をはじめたとしたら、ロシアや北朝鮮も同時に動くと考えていた方がいい。
かつてわが国では、戦争について語ることがタブーであったこともあるが、いまこそ真剣に学び、考えないといけないのではないだろうか。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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