ロシアへの経済制裁は効くか
社会・2022-03-13 18:08ウクライナ侵攻がはじまってから、ルーブルは急落。そのためロシア国民は外貨を引き出すために銀行に長蛇の列を作っている。あるモスクワ在住の日本人は、戦争がはじまってから大家から「家賃はドルで払ってくれ」と言われたという。
しかしロシア中央銀行は、外貨を確保するために、一つの口座あたり引き出し限度額を1万ドル(約117万円)に制限した。
さらにロシアのスーパーでは食料も不足しがちで、まとめ買いを防ぐために数量の制限をはじめるようになった。
西側世界の大企業が、ロシアでの事業停止をはじめた。トヨタは工場停止。マクドナルドやスターバックスは店舗を閉めた。AppleやMicrosoftといった企業がロシアでの製品販売およびサービスの提供を停止。アマゾンやNetflixも停止である。
ロシアの人々は、マックのハンバーガーもスタバのコーヒーも、アマゾンやNetflixでの動画サービスという、日常の楽しみが奪われたということになる。
それに対してプーチンは、「ロシアから撤退した企業は、政府の管理下に置き、国有化する」ことを検討しているという。
ロシアが撤退した企業を、政府の管理下に置き国有化した場合どうなるか? ソ連時代の再来になるということだ。政府に没収され国有化された多くの企業社員は、全員公務員となる。
ソ連時代の経済は、全員が公務員であり、競争原理が働かないために生産性がひどく悪くなった。結果として深刻な物不足が起きた。20世紀後半のソ連は共産主義・社会主義のリーダー国でありながら、走っている車は少なく型は古いものばかり。食料品店に品物は少なく、パン一つ買うためにも長い行列を並ばないと買えなかった。
プーチンはそんな時代を、また作ろうというのだろうか? 経済がグローバルになり、国家よりも多国籍企業が強くなっている現在、プーチンがやろうとしていることは自滅行為だ。
そしてすでに経済制裁は、ロシア国民をじわじわと苦しめつつある。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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