ロシア軍予備役30万人動員 追い詰められるプーチン

社会・2022-09-24 18:41
ロシア軍予備役30万人動員 追い詰められるプーチン
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ロシアがウクライナに侵攻して7カ月。じわじわとロシア軍がウクライナ東部に進軍してきたが、ここに来て風向きが変わってきたようだ。ウクライナのハルキウ州やルハンスク州、ヘルソン州でウクライナ軍が一部を奪還している。

また先日、ロシアの国防省がロシア兵士の死者数を5937人と発表した。一方アメリカの国防総省の発表では7~8万人と発表。戦時の報道なので、どちらも鵜呑みはできないが、ウクライナ侵攻当初のロシア兵は15万人と言われてきた。随時兵員の補充をしているとはいえ、もしアメリカ側の発表が正しいとすれば、ロシア軍の苦戦はかなりのものだろう。

さらにそれを証明するように、先日プーチン大統領とショイグ国防相が、30万人の予備役を動員と発表した。ショイグ国防相は「約2500万人いる予備役のなかの30万人」と言っているが、実際に使える予備役は200万人程度であるらしい。その中で30万人が選ばれ、動員される。

プーチンとしては、もっと多くの予備役を送り込みたいが、現在ある兵器の都合や、ロシア国民に「これは戦争ではなく特別軍事行動だ」と言っている手前、戦争だと思わせない限界数が30万人であるらしい。

しかしロシア国内では各地で「戦争反対!」「子どもの命は渡さない」といった人々がデモを行い、約1400人が拘束され、徴兵されないためにロシアから国外に脱出しようとする人が、一気に航空券を買おうとしたため、一部は売り切れ、航空券は10~20倍に高騰しているという。

では実際にロシア軍の兵士は不足しているのかというと、数か月前に数千人の受刑者に恩赦を与えることを条件に最前線に送り、そのほとんどが戦死している。アフガンやチェチェン紛争のときの予備役招集は数千人程度。それが30万人とは相当兵員が不足しているに違いない。

また先日行われた「上海協力機構」で友好国であるはずのインドのモデイ首相と会談をしたときに、「現代は戦争の時代ではない」とウクライナ侵攻をやめるように求められており、カザフスタンのトカエフ大統領からも「ロシアが実効支配しているウクライナ東部は正式な国ではない」と批判までされている。

さらにプーチンに忠誠を誓っているとされるチェチェン共和国のカディロフ首長までもが「ロシア軍の作戦に間違いがあった」とロシア軍を批難するようになった。

国民の反発に加え、首都モスクワやプーチン大統領の地元サンクトペテルブルクの地方議員たちまでもが、辞任を求めるようになってきた。さらにここにきてまた核兵器の使用をにおわせるようになった。ロシアの一部報道では「予備役動員は30万人ではなく100万人」というものがあり、つまり報道統制が取れなくなってきており、ロシア国民は動揺、ますますプーチン大統領への不信感は強まっているらしい。

これらを見ても、プーチン大統領は相当に追い詰められていると言える。すでに末期的という政治学者もいるが、追い詰められた獣は何をするかわからない。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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