公明党山口代表続投 信者減少中の創価学会と公明党のこれから
政治・2022-09-15 19:30公明党の山口那津男代表が続投となりそうだ。山口代表は、最近まで代表を降りて世代交代をはかるのではと思われていたが、来年の統一地方選挙を見据えて、世代交代より山口氏の13年間代表を続けている安定感を、公明党や創価学会が選んだということだろう。
公明党と言えば、とにかく選挙に強い政党だ。理由はもちろん支持母体の創価学会員が全面協力するのと、票読みの正確さだが、近年、支持母体の創価学会員の高齢化、学会員の減少やコロナ禍で学会員の選挙支援が思い通りにいかなかった。
そのせいか公明党は、最近の国政選挙で「比例で800万票を目指す」と言ってきたが、昨年秋の衆院選は711.4万票、今年夏の参院選では618.1万票しか獲得できなかった。
もし来年春に統一地方選挙がなければ、石井啓一幹事長が代表交代をしていたのだろうが、組織票を大切にする公明党にとって、国政選挙と同じくらい地方選挙も大切なイベントなのだ。創価学会員にとって、遠くの国会議員より、普段よく会う地方議員のほうが何かと相談しやすいという点もある。
統一地方選を勝つためには、まだ見慣れない石井啓一氏よりも、党の顔として知られている山口氏が代表のままの方が有利と踏んだのだろう。
公明党は25日に党大会を開き、山口代表の続投が正式に決定するであろうが、これからの課題としては、減ってきている票をなんとか維持、できれば増やしたいそのためにはどうするか? であろう。
そのためには与党で居続け、党の印象を強くすること。それは連立している自民党の言いなりにならないということでもある。創価学会は政治的に「女性部」の影響力が強い。この「女性部」は、21年に「婦人部」と「女子部」が一体となったものだが、「平和の党」「福祉の党」を掲げる公明党が、タカ派的な自民党の言いなりになるようでは、この「女性部」にそっぽを向かれることになりかねない。
ただし自公連立は、創価学会員の集票力によって成立しているが、このまま学会員の高齢化や減少が続き、集票力に陰りが見えだすと、連立がいつまで続くかわからない。もし連立が終われば、公明党にとっても創価学会にとっても、創立以来もっとも大きなピンチを迎えるのではないか。
また、統一教会問題が出てきたいま、「政治と宗教」が注目され、創価学会がかつて行っていたかなり強引で攻撃的な布教活動が掘り起こされ、「昔は創価学会も信者から多額の金集めをしていたんじゃないのか」「創価学会もカルトじゃないのか」「政教分離していないんじゃないのか」と、叩かれることが多くなった。
さらに熊野正士参議院議員がセクハラ行為をしたという疑いも発覚している。山口代表は、これらをいかに説明し、悪いイメージを払拭する必要がある。
公明党と創価学会のこれからだが、まずは来年の統一地方選での勝利が目標であろう。統一教会問題やセクハラ疑惑議員の出現など逆風の中、山口代表には難しいかじ取りが求められている。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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