創価学会・日本会議・神社本庁と政治の関係って?
社会・2022-08-17 18:06統一教会スチャンダルで、政治と宗教について何かと注目されるようになった。与党である公明党の支持母体は創価学会という宗教団体であり、また左翼系メディアの中には、日本会議や神社本庁を「日本の黒幕」「日本最大の極右団体」という人もいる。実際はどうなのだろう?
公明党は1999年に連立与党となり、以降、数多くの法案を成立させてきた。しかし自公は必ずしも一枚岩ではない。しかし公明党が与党から外れると、創価学会員の関心が高い福祉政策や中小企業対策についての政策決定ができなくなる。
そのため自民党のやりたい安全保障政策などに妥協せざるを得ない。創価学会の資金力や700万票ともいう集票力をもってしても、自民党を言うなりにできるというわけではない。日本の政治はあくまで自民党中心なのだ。そして公明党は自民党との付き合い方を間違えると、支持母体の創価学会からそっぽを向かれることになる。
「日本会議」は、1997年に「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」を統合して設立。「日本を守る会」は生長の家の谷口雅春教祖ら新宗教・神道系の宗教団体を中心に結成され、「日本を守る国民会議」石田和外元最高裁長官の呼びかけで発足したものだ。
(ただし現在、生長の家は日本会議の右傾化に反対し決別しているらしい)
左翼系メディアは日本会議を「日本最大の極右団体」「カルト集団」というが、宗教学者の寺田喜朗氏によると「実態的には小規模なボランタリー・グループの集合体に他ならない」としている。
日本会議は安部・麻生・菅元総理や岸田総理などそうそうたるメンバーがいるため過大評価されているという。政治家たちが日本会議に入るのは、信仰心というより党内や地元有力者との人脈作りであるようだ。
また、日本会議の会員は約3万8000名。年会費は1万円だから格別大きな収入があるとは言えそうにない。
では日本会議の動員力・資金源となっていると言われる「神社本庁」はどうか? この団体は敗戦後に国家による管理体制が廃止されたため、各神社の連合体として発足したもので、教義なども統一されていない。当然、神社本庁が日本中の全神社を支配しているということもない。創価学会のような政治的動員数もさほど多くない。神社は地域共同体の一部であり、全国の氏子を強制的に動員したりすることはできないのだ。
2016年の『週刊ダイヤモンド』によれば、神社本庁の所有財産は、93億7644万円あり、神社本庁の収入は約35億円。ちなみに創価学会は機関紙『聖教新聞』の売り上げだけで1000憶円以上あるというから大変な違いである。
これらを見るとどうも左翼系メディアが言うような「裏で日本を支配している」ということはなさそうだ。しかし宗教というのは、一歩間違えると恐ろしいことになる。日本政府は、統一教会スキャンダルを機会に、宗教とある程度の距離をとるようにしたほうがいいのかもしれない。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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