60年代、日本の首相たちは核武装をしたかった

社会・2022-03-04 20:03
60年代、日本の首相たちは核武装をしたかった
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「ウクライナがロシアに侵略されているのは、核兵器を放棄したからだ」という説がある。第二次世界大戦後、大国同士の大きな戦争がなかったのは、大国同士が、大量の核兵器を所有し、一発でも発射してしまえば核戦争が起こり、全世界が破滅しかねないからだ。

皮肉なことに、ある意味世界の平和は核兵器によって守られてきたともいえる。また、核武装は自国を守るためもっとも有効なものともいえる。だからこそ、北朝鮮のような敵が多い国は、喉から手が出るくらい欲しい兵器なのだ。

第二次世界大戦中、日本も核兵器の研究開発をしていたが、ウランを確保できなかったため、終戦4カ月前に開発は中止された。もし、日本が先に開発に成功していたら、日本が最初の核兵器加害国になった可能性は大きい。

そして不幸なことに日本は最初で(いまのところ)最後の被害国となってしまった。敗戦後、隣国であるソ連と中国が核武装するようになると、当時の池田勇人首相が、「日本も核武装しなければならん」と発言したり、佐藤栄作元首相も、64年にライシャワー駐日米国大使との会談で「もし相手が『核』を持っているのなら、自分も持つのは常識である」と語っている。

また佐藤栄作氏は米国に、もし中国と戦争になったら「米国が直ちに核による報復を行うことを期待している。陸上に核兵器用施設を造ることは簡単ではないかもしれないが、洋上のものならば直ちに発動できるのではないか」とも語っている。

佐藤栄作元首相は、67年国会で「非核三原則」を表明し、そのおかげで74年にノーベル平和賞を受賞しているが、本音では日本核武装化論者であったことは、あまり知られていない。

いま、米国との核共有を主張しているのは、安部元首相や日本維新の会であり、被爆地広島出身の岸田首相は否定している。核による侵略戦争が現実味を増しているいま、我々はどう考えるべきなのだろうか?

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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