習近平が夢見る新中華世界帝国と中国の劣等感

社会・2021-01-13 17:36
習近平が夢見る新中華世界帝国と中国の劣等感
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中国共産党は2021年7月、結党100年を迎えるいま、中国のリーダー習近平総書記は、何を考えているのだろうか?

19世紀前半、清国のGDP全世界の3割を超えるほどの大帝国であった。それは自らの国こそが世界の中心であるとして『中華』、世界の中心の華と呼ぶほどであった。

それまで西洋列強は、この中華帝国と取引を、できるなら征服したいと虎視眈々と狙っていた。西洋列強同士が中国との交易路の確保のため、数多くの戦争をしてきたほどであった。

中華帝国のプライドが粉々に砕けたのはアヘン戦争の敗戦である。産業革命や科学革命を経たイギリス軍の近代装備に、旧態依然の中華帝国軍はまるで歯が立たなかったのだ。

それからはみじめなもので、香港の割譲、上海ら5港の開港、領事裁判権の承認、関税自主権の喪失などなど、イギリスはじめ西洋列強のいいようにされたのである。

さらに日清戦争の敗北後、清は滅亡し大陸は内乱状態。毛沢東の中華人民共和国が誕生、しかしそのときには、すでに世界の中心は欧米となっていた。この時代におけるトラウマをいまだに中国は抱えている。

習近平氏の夢は、中国をかつての明国や清国のような世界の中心たる新中華帝国にすることだという。

ただ、中国は今回の新型コロナウイルスの起源解明にしても、WHO(世界保健機関)の調査団の一時入国を拒否し、世界的な非難が起こるとまさに、仕方なく渋々を受け入れたという感じだ。これも中国が抱える国際的劣等感のためであろう。

いま、世界が情報を共有し協力し合う必要があるにも関わらず、情報共有や調査を拒む姿勢は世界中を失望させた。

アヘン戦争から第二次大戦終結の時代、中国は日本や欧米列強に服従させられた。これを中国は「百年国恥」という。この期間に中国は大きな劣等感を抱えてしまった。中国はこの劣等感を乗り越えない限り、世界の嫌われ者になるかもしれない。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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