反日であり反米・反中でもある韓国のジレンマ

社会・2020-10-23 12:30
反日であり反米・反中でもある韓国のジレンマ
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10月12日、李秀赫(イ・スヒョク)駐米韓国大使が日本でいえば国会にあたる会議で

「韓国が70年前に米国を選択したからといって、今後の70年間も米国を選択するわけではない」

「アメリカが朝鮮戦争のときに韓国を支援したことと、今後の韓米同盟は別問題」

と発言し、さらにアメリカではなく中国を(同盟国として)選択する可能性さえ示唆した。当然、保守派である韓国野党は大反発をしたが、与党は李大使を擁護したという。

いくら文在寅(ムン・ジェイン)大統領が親中国・親北朝鮮の人だからって驚いた人も多いことだろう。しかし韓国という国はそういう国にならざるを得ない歴史を持っているのだ。

韓国近代史は、李氏朝鮮、大韓帝国、日本統治時代、連合軍軍政期、朝鮮戦争を経て韓国と北朝鮮に分裂という歴史を持つ。

李氏朝鮮時代は清の属国。その清への属国をやめさせたのは日本。大韓帝国時代の保護国(外交・国防権などを他国に譲与あるいは奪われている国)は日本。日韓併合で日本に実効支配され、日本敗戦後には連合国に、朝鮮戦争後はアメリカとソ連によって分断された。

つまり、朝鮮半島の近代史は、常に強国によって翻弄され支配されてきた歴史でもあるのだ。

北と南に分断された朝鮮民族だが、北朝鮮は元の王朝時代に戻り、韓国は軍事政権をへて民主主義となった。現在はかつてのような宗主国がいない。自主独立はしたい。

政治的には日本も嫌い。アメリカも嫌い。中国も嫌い。だけど頼らないと生きていけない。韓国も北朝鮮も、そういうジレンマを持たざるを得ない近代史を持った国なのだ。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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