怯える軍事大国ロシアの被害者意識(前編)

社会・2022-02-19 15:13
怯える軍事大国ロシアの被害者意識(前編)
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ロシアは世界一領土が広い国であるのはご存じの通り。では人口は何人くらいか? およそ1億4400万人。日本が1億2600万人だから、それほど大きな違いはない。

GDPランキングは世界10位、韓国とほぼ同じくらいである。軍事費ランキングでは世界4位。核弾頭の保有数は米国が7650発に対してロシアは8420発と、世界で最も多い。軍事力ランキングでは米国に次いで2位。つまりロシアは経済力に合わない強大な軍事力を持つ国と言える。

なぜロシアがそれほどの軍事力を持つに至ったのかというと、もちろん20世紀後半の東西冷戦時代、東側のリーダーであったこともあるが、それ以外にも悲惨な歴史がその理由にある。

ロシアの歴史は、外国から常に攻め込まれ、そのたびに莫大な犠牲者を出した歴史でもあるのだ。まずは13世紀、現在のロシアやウクライナがある地域は、モンゴル帝国に征服されてしまう。約2世紀にわたりモンゴル民族に支配された。

次に19世紀には約60万人ものフランス・ナポレオン軍によるロシア侵攻だ。これでモスクワは陥落。多くの犠牲者を出しながら、冬の寒さと疫病に助けられ何とかナポレオンを追い払う。

第一次世界大戦では、ドイツがロシアに侵攻。主力のロシア軍はドイツ軍に壊滅させられてしまう。このため帝政ロシアは国力が弱まりロシア革命が起こる。その後の内戦でロシアの人口は1000万人も減少。内戦中にウクライナ、ベラルーシ、ラトビア、エストニアをドイツが占領。トルコ軍がカフカス地方に侵攻、1918年には日本軍がシベリアに出兵。

第二次世界大戦では、ヒトラー率いるナチス・ドイツ軍330万人が独ソ不可侵条約を破ってソ連に侵攻してくる。第二次世界大戦というと、日本では米国との太平洋戦争と、原爆、東京大空襲などの悲惨な被害を思い起こす人が多いだろう。だがロシアの犠牲者と被害はケタが違う。
(明日の後編に続く)

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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