かつてソ連がウクライナに行った知られざる大虐殺

社会・2022-02-25 14:09
かつてソ連がウクライナに行った知られざる大虐殺
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ロシアによるウクライナ侵攻がはじまった。マスコミはよく「ロシアとウクライナは兄弟国」という。確かにロシア人のルーツは、ウクライナの首都キエフにあり、そういった意味では兄弟国なのかもしれない。

しかしかつてそのロシア人が、ウクライナ人に対して行った大虐殺があったことは、あまりしられていない。

その大虐殺は『ホロドモール』と言われ、1932年から1933年にかけてウクライナで起きた人為的な大飢饉である。これは当時のソ連最高指導者スターリンによって計画され、実行された。これはナチス・ドイツが行ったユダヤ人に対するホロコーストなどと並んで、20世紀最大の悲劇とされている。

スターリンは、農場の共同保有や集団運営によって、生産性を向上させるつもりであった。同時に、ソ連の工業化をも進める計画であった。この当時のウクライナは、「ヨーロッパのパンかご」と呼ばれるほどの穀倉地帯で、1930年代に入る頃には、ウクライナの農民のほとんどが集団農場で働いていた。

ソ連は、ウクライナの農民たちに過剰な穀物徴収を課し、農民たちが食べる分まで農産物を徴収したのだ。そのため1450万人、国民の5人に1人が餓死した。飢えたウクライナ人は、死体を肉として他人に売ったり、我が子を殺して食べる者までいたという。

最近、ロシアと中国は接近しているというが、かつて中国の毛沢東も『大躍進計画』で4000万人を殺している。独裁者というのは人命をなんとも思わない人種であるらしい。

21世紀の代表的な独裁者は、プーチンと習近平だが、人命・人権より自分の権力を守りたい人たちだ。NATOや日本などがロシアに経済制裁を強化し、ロシア国民が困窮したところで、プーチンは気にしないだろうし、ロシアの石油等は中国が買ってくれるから、制裁の効果はあまりない。さて、これからどうなるか……

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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