プーチンはチェチェンの悪夢を繰り返す②
社会・2022-03-31 10:261999年、プーチンがロシアの首相になると、すぐにモスクワなどロシア国内3都市で300人近い死者を出す爆弾テロが起こった。プーチンはこのテロをチェチェン独立派の仕業と決めつけ、「対テロ作戦」としてチェチェンに進攻。第二次チェチェン紛争の発端となる。この爆弾テロは、チェチェン侵攻の口実のため、プーチンの自作自演と言われている。
これは、今回プーチンがウクライナ侵攻の理由として「テロ組織の排除」を理由にしていることと類似している。自作自演をしようが理由をデッチ上げようが、相手のせいにして侵攻している。また、チェチェンが脱ロシアをしようとするのを阻止しようとしたのも、ウクライナと一緒である。
第一次のときのロシア軍はグダグダであったが、第二次のときはどうか? ロシア軍の指揮をとったのはプーチンであった。まず民間施設であろうが人道回廊だろうが、容赦なく空爆し、地上戦を行った。これもウクライナの場合と同じである。
ウクライナの病院を空爆したときロシア側は「あそこにはすでに病人はいなくテロの拠点となっていた」と言ったが、第二次チェチェンのときも、民間施設を空爆。理由は「あそこには武器の売買する場所だったから」というものでこれも似ている。
首相になったばかりのプーチンの支持率は2~5%だったが、チェチェンの爆弾テロを自作自演し、ロシア人の不安と怒りを利用しつつ、対テロ作戦で強硬な武力行使を行うことで、一気に英雄にまでなることができた。
そのおかげで翌年に行われた大統領選では圧勝。プーチンにとって、第二次チェチェン紛争は、大きな成功体験となったのだ。
おそらくプーチンは、ウクライナでも同じようになると確信していたのであろう。
第1次、第2次のチェチェン紛争で、チェチェン共和国の4~5人に1人が死亡したと言われている。ウクライナが第二のチェチェンにならないことを祈るばかりだ。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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