中国コロナ感染大爆発の謎

社会・2023-01-13 18:29
中国コロナ感染大爆発の謎
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昨年、2022年11月27日、上海市でゼロコロナ政策への不満が爆発。政府や共産党への抗議デモが起こった。
このデモは上海だけでなくたちまち中国全土に広がっていく。
極めて異例だったのがデモ中に「習近平やめろ」「共産党退陣」といった言葉が飛び交っていたことだ。
共産党独裁で、こういった言葉が飛び出すのは、天安門事件以来のことではないだろうか。

デモに対してかなり厳しい弾圧があるのかと思っていたが、共産党政府は一転12月7日にゼロコロナ政策を撤回する。
あまりのことに、中国都市部の市民たちは外出が自由になったにもかかわらず、コロナの感染を恐れてしばらくの間、街に出なかったほどだ。

そして多くの人が予想したように感染爆発が起こった。それも異様に速く。
ゼロコロナ政策撤廃から、一カ月もたっていないのに14億人いる中国で6億人が感染したとか、北京市の80%以上が感染したとかいう報道が出ている。

河南省では住民の90%近くが新型コロナに感染したと地元保健当局が発表している。

本当だろうか? 中国政府はゼロコロナ撤廃と同時にPCR検査もやめてしまっているのだ。北京市の80%とか河南省90%という数字は推測に過ぎない。

そして、多くの地域ではすでにピークアウトしはじめているという。それもおそらく推測だ。

しかし感染が急拡大しているのは紛れもない事実であるようだ。ただPCR検査を中止したので正確な数字はわからない。つまり謎だ。

さらに北京市当局者によると、感染者は12月20日にピークを迎えたと発表した。
12月7日にゼロコロナ撤廃、わずか2週間ほどで80%が感染し、ピークを迎えたというのは、いかにも早すぎる。
それともゼロコロナで免疫がついていない人々にとってオミクロン株はそれほど感染力が強いのだろうか? いまやこの当局の発表も信用できない。

それでいて中国の疾病管理予防センターは公的機関だが、今月に入ってからの死者数がずっと一桁なのだ。
だが報道では葬儀場に入りきれないほどの遺体が運ばれており、病院では患者たちが列をなしている。
CNNの報道では衛星写真に火葬場に長蛇の列ができており、実際には連日大量の死亡者が出ていると思われる。

さらにここまで感染が広がると、むしろ感染したほうが「免疫が付いていい」と考える人も多いと言う。

そしていまや中国の人たちはマスクこそしているものの、普通に外出し旅行などを楽しんでいるようだ。

もしかしたら中国政府は、あえて感染をひろめることで自然免疫をつけさせ、コロナの鎮静化を狙っているのかもしれない。大勢の国民を犠牲にしてもだ。
そして死亡者を少なく発表し、中国政府のコロナ政策は正しかったと公表するつもりかもしれない。

ゼロコロナからオールコロナになり、中国政府の情報はオープンされない。つまり本当は何人が感染し、どれだけ死亡者がでているかわからないのだ。
これでは中国は信用できないと言われて仕方ない。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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