入管法改正案、野党の反対で取り下げに

政治・2021-05-19 18:49
入管法改正案、野党の反対で取り下げに
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入管法、正しくは【出入国管理及び難民認定法】 何かと賛否があるものだが、その入管法改正案が野党の反対で取り下げになった。

この法律は過去にも数回にわたり改正があり、1982年の改正では、それまで地位が明確になっていなかった「戦前から日本に住んでいる韓国・朝鮮・台湾人」の特例永住権が認められたのもこの法律。

バブル時代、不法入国者や不法就労者が増え、厳罰化となったのもこの法律。

2018年では、深刻な人手不足を解消するために、外国人に単純労働の人材に門戸を開く必要があったため改正された。

このように入管法改正には、その時代時代の背景が深く影響している。今回問題となったのは【難民受け入れ】と【人権問題】についてだ。

日本の難民認定率は先進国の中でも極めて低い。難民認定率はカナダでは55.7%、イギリスで46.2%、アメリカで29.6%なのに対し、日本ではわずかに0.4%しかない。

紛争や迫害で日本に逃げてきた人に対して、故国に返したら殺される可能性があるとわかっていても、受け入れずに追い返してきたのが我が国である。

今回の改正案では強制送還を拒むと、「送還忌避罪」を新設する方向性を打ち出している。この目的は入管施設の長期収容問題の解消として、送還忌避罪をつくることで、強制送還するためだという。

今年3月に、長期収容されていたスリランカ女性が死亡したことが話題になっているが、入管施設では07年からわかっているだけでも自殺等で16人も死亡しているのだ。これは異常といっていい。

これらの問題で日本はすでに国連から「国際人権基準を満たしていない」と非難されている。

今回の入管法改正案は、野党の反対で取り下げられたが、たまには野党もいい仕事をするじゃないか。入管施設での虐待や医療放置なども問題となっているので、引き続き入管の闇を暴いていってほしい。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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