安部元首相銃撃! 暗殺は歴史を変えるのか⁉

社会・2022-07-08 17:02
安部元首相銃撃! 暗殺は歴史を変えるのか⁉
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いまこれを書いている3時間前に安部元総理が銃撃されたという情報が入った。いまの時点において「心肺停止」という情報のみで生死はわからない。

「銃社会ではない日本でこんなことがあるとは信じられない」という声がある。しかし昔から銃による日本の首相、元首相暗殺事件はある。

1906年(明治39) 伊藤博文 ハルビン駅で射殺
1930年(昭和5) 浜口雄幸 東京駅で射殺
1932年(昭和7) 犬養毅 5.15事件で射殺
1936年(昭和11) 斉藤実 2.26事件で射殺
1936年(昭和11) 高橋是清 2.26事件で射殺

しかしこれらは、戦前の事件ばかりだ、では戦後になって政治家が襲撃された主な事件を見てみよう。

1960年(昭和35) 浅沼稲次郎社会党委員長 演説中、右翼の少年に刺され死亡
1960年(昭和35) 岸信介首相 池田勇人自民党総裁就任祝賀会から出てきたところを刃物で刺され重傷
1990年(平成2) 本島等長崎市長 右翼団体の構成員に拳銃で撃たれ重傷
1990年(平成2) 丹羽兵助元労相 陸上自衛隊駐屯地で男に刺され死亡
1992年(平成4) 金丸信自民党副総裁 講演会で狙撃
1996年(平成8) 柳川喜郎岐阜県御嵩町長 自宅で襲われ重傷
2002年(平成14) 石井紘基民主党衆院議員 右翼団体代表に自宅前で刺され死亡
2006年(平成18) 加藤紘一自民党元幹事長 実家と事務所が放火され全焼
2007年(平成19) 伊藤一長長崎市長 暴力団幹部に銃撃され死亡

と、政治家が銃撃や刃物で襲われたことがたびたびあった。こういった事件が起こると「暗殺では何も変わらない」とよく言われる。本当にそうだろうか?

とても残念なことなのだが、暗殺が歴史を大きく変えることが、ときにあるのだ。第一次世界大戦の原因となったのは、20世紀初頭にオーストリア皇太子フェルディナント大公夫妻をセルビアの青年が暗殺するという「サラエボ事件」であった。

日本の幕末、江戸幕府大老の井伊直弼が桜田門外の変で暗殺された後、江戸幕府は急速に力を弱めて明治維新が起こるなど、暗殺が歴史を変えるキッカケになることがある。

今回の事件は、国政選挙投票日直前ということで、選挙結果に大きな影響を与えることになるだろう。そしてもしかしたらその後の歴史に影響を与えるかもしれない。

しかし誰がなんといおうと、どんな理由があろうとテロや暗殺は許されることではない。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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