もしロシアが核を使用したらそのときNATOは?

社会・2022-11-09 18:11
もしロシアが核を使用したらそのときNATOは?
閉じる

プーチンが核の使用をにおわす発言を繰り返している。はたしてこれはただの脅しなのだろうか? 本当にロシアは核を使用しないと言い切れるのか?

当然言い切れない。NATOも「もしロシアがウクライナに核兵器を使ったら」というシュミレーションがあるはずだ。

いま考えられているのは、もし使うとしたら戦術核であろうと言われている。戦術核とは何か?

「射程距離500km以下」というだけで、弾頭威力などは特に定義されていないが、一般的には小型核兵器と考えられている。
しかしロシアは核兵器の小型化に熱心ではなく、せいぜい10キロトンが最小だと言われている。広島に落とされた原爆が15キロトンだから、決して威力が小さいわけではない。

ではロシアが核を使用したとして、NATOはどう反撃するのだろうか?

現在、NATOはウクライナに武器や資金などを提供しても、実際に派兵してはいない。もしそのようなことをすると、米英仏という核保有国を含むNATO・ウクライナVSロシアの直接戦争となり、核戦争を避けるためだ。

しかしもし、ロシアが核を使ったとすると「核戦争を避けるため」という理由がなくなる。ロシアが核を使用した瞬間、これまであった「核は使わない」という暗黙のルールが変化することになる。

そしてNATO軍がウクライナに直接乗り込まざるを得ない。

とはいえ、報復にいきなりNATOも核使用とはならないであろう。最初は通常兵器でウクライナ領土領海に侵入しているロシア陸海空軍を徹底的に殲滅することになると思われる。

もしNATOがロシアの核使用を見過ごすようなことがあれば、今後の国際ルールが「核を使ってもいい」となりかねないからだ。

しかしロシア陸軍海軍を殲滅するほどの攻撃をされたロシアはどうするだろう? 殲滅されるほどの攻撃に反撃する方法は一つしかない。

核による反撃である。

二度三度と核の反撃をされたら・・・ それがウクライナ国内だけでなくNATO諸国に核ミサイルが発射されたとしたら・・・

ロシアは6000発近い核弾頭を保有しているのだ。世界滅亡への核戦争にエスカレートしていきかねない。

それ以外にも、米ロはこれまで何度か、核戦争の危機に見舞われている。

キューバ危機のときは間一髪で避けることができた。しかしキューバ危機のときも、ソ連の潜水艦が追い詰められ、モスクワとの通信ができず核兵器を使用しようとしたことがある。

1979年、米大統領補佐官の下に「ソ連から核攻撃」の一報があったこともある。
1983年にはモスクワの防空司令部にアメリカの核ミサイル発射の警報が鳴ったこともある。

どちらもシステムエラーなどのミスで、ギリギリのところでエラーとわかり大事にはいたらなかったが、このとき報復のミサイルを発射してもおかしくなかったのだ。

世界はいつ全面核戦争になってもおかしくない。そうなったら人類滅亡である。

プーチンはおそらくそれもわかっているのであろう。プーチンはそれがわかっていて、核を使用する可能性はある。それは彼がプーチンだからだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

関連記事
関連タグ
社会新着記事