プーチンの焦りは過去の体験と年齢からきている

社会・2022-02-28 19:53
プーチンの焦りは過去の体験と年齢からきている
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いま世界でもっとも注目を集めているプーチン大統領とはどのような人物なのだろうか? プーチンは1952年、サンクトペテルブルク(レニングラード)に生まれる

プーチンがKGBの職員であったことは有名だ。ソ連崩壊後は、KGBの後継機関であるFSB(ロシア連邦保安庁)の長官にまで昇りつめている。

89年、東ドイツにKGBから派遣されていたときに「ベルリンの壁崩壊」を目の当たりにする。その2年後母国ソ連邦崩壊。この二つの体験が後の政治家プーチンを作った。

ソ連崩壊後、自由主義経済を取り入れたロシアに大インフレが襲う。92年には物価が26倍にまで跳ね上がったのだ。そしてこれまで味方であった東欧諸国が続々と独立していく。

ロシア国民は資本主義や民主主義に幻滅し、強い指導者を求めるようになる。そこに現れたのが、KGB出身のプーチンであった。

2000年、プーチンは47歳の若さロシア連邦第2代大統領に就任。幸いにも大統領就任後、ロシアの主要輸出品である原油価格が上昇しだす。ロシアは空前の好景気となり、プーチンの支持率は常に70%以上であった。

そんな中でも周辺国のNATO加入は止まらない。緩衝国が続々と敵陣営に去って行くのを見て、プーチンは恐怖したに違いない。プーチンは08年にNATO加盟を表明したジョージアに侵攻。14年にはウクライナ南部のクリミア半島を編入してしまう。プーチン政権に反対する者は暗殺までした。

これに対して西側諸国は経済制裁を行うと、ロシアの景気も陰り、プーチンの支持率も落ちていく。

いまプーチンの年齢は69歳。ロシア男性の平均寿命は68歳。すでに平均寿命を超えている。そして若い時代に体験したベルリンの壁崩壊と母国の崩壊。周辺諸国の裏切りなど自分の年齢や体験から、おそらくプーチンはこれまで以上に焦っているのだろう。彼に残された時間は少ないのだ。

核の使用すらちらつかせているプーチンは、これからどう決断するのか?

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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