ウクライナ善戦、ロシア苦戦の理由とは

社会・2022-04-20 18:43
ウクライナ善戦、ロシア苦戦の理由とは
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我々は「ロシアのGDPは韓国程度で大したことない」などというが、それは世界第1位の米国や第3位の日本と比べての話で、いま戦っているウクライナはGDP世界55位、軍事費40億ドル(約4800億円)に対して、ロシアはGDP 11位、軍事費600億ドル(約7兆2600億円)以上と、はるかにロシアの方が上だ。

そのロシアがウクライナを攻めあぐねているのはなぜか? 歴史上日本にも同じような場面があった。幕末に薩長軍と幕府軍が激突した戊辰戦争である。

幕府軍の兵力1万5000に対して薩長軍5000と大差があったが、薩長軍には錦の御旗を掲げての大義。幕府軍は槍や刀、旧式銃や大砲に対して、薩長軍の最新式の銃にアームストロング砲と武器の違い。幕府軍の戦略・戦術が戦国時代のままであったのに対して、薩長軍は、西洋で発達した火力中心の戦略・戦術を使い、数で勝る幕府軍に勝つことができた。

いまウクライナの戦場でも似たようなことが起こっている。ロシア軍はソ連時代の戦い方を踏襲し、旧式の武器(本当なら最新式の武器があるはずだったのだが、なぜか倉庫には旧式しかなかったという。最新式の武器費用は、賄賂等に消えたらしい)で戦い、兵士に錦の御旗のような大義はなく士気は低い。

一方のウクライナ軍は、NATOから米国製の対空ミサイル「スティンガー」や対戦車ミサイル「ジャベリン」を供給され、母国防衛のために士気が高い。

そして、ウクライナ軍は旧ソ連から独立をしたとき、旧ソ連式の大規模兵力を必要とする軍隊から、国防中心のコンパクトで合理的なNATO式軍隊へと転換に成功していたのだ。

これがウクライナの善戦、ロシアの苦戦に繋がっている。ふと我が自衛隊を見直してみると、本来一番にやらねばならない市街戦の訓練は多くなく、いまだに第二次大戦のときと同じ「突撃」の訓練をやっているという。ふと大丈夫かいなと思うことしきりである。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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