太平洋戦争を彷彿とさせるウクライナ戦争
社会・2022-04-20 11:00いまウクライナの東部、マリウポリが陥落寸前であるという。いまロシア軍は食糧庫を破壊し、10万人の残っているウクライナ市民は、飢餓と渇きに苦しんでおり、弾薬も少なくなっているが、少なくともこれを書いている時点ではまだ、マリウポリの兵士や市民は降伏をする気などないようだ。
降伏しない理由として、過去にロシア軍が行った約束破りがある。2015年、ウクライナ東部での戦いのとき、ロシア軍が抵抗するウクライナ人に投降を呼びかけたことがあり、その呼びかけに応じ降伏したところ、皆殺しにされてしまったことがあるのだ。
これはウクライナだけではなく、チェチェンやシリアでも同様のことが起こっている。いま戦っているウクライナ人たちは、投降や降伏をすれば命がないというのが基本認識だという。これは太平洋戦争の戦争末期に、負けるとわかっていても、最後の一兵になっても戦おうとした日本人と似ている。
日本人の場合「捕虜になれば鬼畜米英に殺される。生きて虜囚(りょしゅう)のはずかしめを受けず」と教育されてきた結果だが、ウクライナ人の場合、ほんの7年前に降伏をしたらどうなるかを経験してきたのだ。
一方、フィンランドとスウエーデンがNATO加入を希望した。特にフィンランドは、ロシアとの国境を日本の本州とほぼ同じ長さで接しており、ウクライナの状況は他人事ではない。
そもそもロシアはウクライナのNATO入りを阻止したいために侵攻を開始したのだが、北欧2国のNATO加盟希望は、完全に藪蛇となってしまった。太平洋戦争のとき、日本軍は短期決戦で米国を叩き講和に持ち込むつもりだったが、結果は米国だけではなく英・中・蘭、最後にはソ連と、世界を敵に回して戦うハメになってしまった。これも似ている。
最後の一兵まで戦おうとするウクライナ人、世界を敵に回したロシア。この戦争の結末はまだわからない。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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