プーチンは狂人か？ あるいは狂人理論の実行か？

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多くの政治学者やジャーナリストが「プーチンは常軌を逸している」「正常な判断が出来なくなっているのではないか」といった言葉を多々聞く。「正常な判断が出来なくなっている」としたら、世界で最も多くの核弾頭を保持する国の独裁者が狂っているということだ。もしそうならこれほど恐ろしいことはない。

フランスのマクロン大統領は、先月プーチン大統領と会談をしたとき「2019年12月の首脳会談で会っていた人物とはもはや同じではなかった」「よりかたくなになり、孤立している」と指摘。

米国の情報機関と近い関係にあり、プーチン大統領の精神状態について、政府報告を受けているとされる米国ルビオ上院議員は「詳細は言えないが、プーチン氏は何かがおかしい」とツイッターでつぶやいている。

いまプーチン大統領は核使用をちらつかせながら、非核国であるウクライナ侵略を実行している。一見すると確かに正常とは思えない行動だ。

政治用語で「狂人理論（マッドマン・セオリー）」というものがある。かつてアイゼンハワー米大統領の時代、膠着していた朝鮮戦争を解決するために核兵器使用を伝え、休戦となったことがある。

ニクソン米大統領はベトナム戦争終結や、ソ連との外交で「世界核戦争になってもかまわない」と、北ベトナムやソ連にリークし「ニクソンならやりかねない」と思わせることで終戦に成功した。

この方法は、相手がまともなら、狂人相手に引くしかなく、もし相手がまともでないなら現実に核戦争が起こってしまうかもしれない。よって狂人理論を実践するには「本当は指導者が狂っていないこと」が第一条件になる。

プーチンが狂人を装っているのか、それとも本当に正常な判断ができなくなってしまっているのかは、わからない。ただプーチンが核のボタンを指でもてあそびながら、ウクライナ侵略を実行中であることは事実である。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008～2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。