『戦艦ポチョムキン』と第二のロシア革命

社会・2022-03-08 18:07
『戦艦ポチョムキン』と第二のロシア革命
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米国防総省からの情報によると、ウクライナに侵攻するロシア軍は、燃料や食料の供給がうまくいっていないらしい。

侵攻直後から、燃料不足で立ち往生する戦車や、数十キロに及ぶ止まったままの車列が報道されるなど、ロシア軍の兵站に問題があることは以前から指摘されてきた。

兵站(へいたん)とは、前線の部隊に武器・燃料・食料などを供給・補充する極めて重要な役割をいうが、ある情報ではロシア軍の食料が不足し「自弁せよ」との命令があったという。つまり軍隊内で食料不足が起こっている可能性があるのだ。

1905年(明治38)、帝政ロシア軍の軍艦で一つの反乱があった。理由は水兵たちの食料である肉にウジがわいていたことであった。その戦艦の名前は『ポチョムキン』号という。

ソ連映画『戦艦ポチョムキン』で有名なこの反乱だが、場所はウクライナの黒海海上。ポチョムキンは帝政ロシアの戦艦であった。そして反乱のキッカケは上官が水兵にウジがわいている肉を食べさせようとしたため、日ごろから鬱積していた不満が爆発。反乱となるが、この事件はロシア革命に大きな影響を与えたという。

「食べ物の恨みは恐ろしい」というが、ウクライナ政府を2日で落とすはずだったロシア軍だが、思ったように進軍できないのは、ウクライナ軍が頑張っているのはもちろん、ロシア軍の兵站が上手くいかず食料不足。

軍だけではなく、経済制裁でさすがにウジがわいた肉とまではいかないが、ロシア国内では、日常の買い物すらままならず、不安と不満が鬱積してきているという。

これ以上、軍やロシア国民の不安が高まれば、第二のロシア革命が起こるかもしれない。ただし、映画『戦艦ポチョムキン』の冒頭で次のようなレーニンの言葉が出ている。

「革命とは戦争である」と・・・

仮にプーチンが失脚し、ウクライナ危機が去ったとしても、次はロシア国内で内戦が起こるかもしれない。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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