誰もウクライナ戦争で得をしない パートⅡ
社会・2022-04-28 20:31戦争はお金が儲かると思っている人がいる。池上彰氏なども「軍需産業が儲かるから戦争はなくならない」と言ってはばからない。
確かに軍需産業は一時的に、儲けることができる。ウクライナ戦争で軍需産業の株価は急上昇、対戦車ミサイルなどは、米国内の在庫がなくなるのではないかと心配されているほどだ。確かに米国の軍需産業はウハウハ、ただしいまだけ。
さて、米国はウクライナに兵器の提供をしているわけで、売っているわけではない。では兵器提供のお金は誰が出すのでしょう?
そうです。米国の国民や軍需産業を含めた企業の税金から出すのです。実際戦争で国が儲かったのは19世紀までで、20世紀になると儲からなくなってしまった。
日本は戦後朝鮮やベトナム戦争の戦争特需で儲けたが、その後の戦争では金を取られるばかり。かのロスチャイルド家は19世紀のナポレオン戦争で巨万の富を得たが、第一次第二次大戦で大損して、世界のロスチャイルド5家のうち3家は破産した。
米国は太平洋戦争、朝鮮戦争、ベトナム、湾岸やイラク戦争で儲かっただろうか?
例えばイラク戦争の費用は、ノーベル経済学賞をとったジョゼフ・スティグリッツ氏の試算によると、少なくとも3兆ドル(約330兆円)かかり、クリントン前政府で黒字になっていた国家財政が、その後毎年4000億ドル(約43兆円)前後の赤字となっている。
79年、ソ連はアフガンの親ソ連派を支援するために侵攻、結果ソ連国内の経済が悪化し、それが原因でソ連という超大国が崩壊してしまった。
01年、米国はアフガンに侵攻。20年に及ぶ戦いの結果、ばく大な資金を投じながら昨年の8月、米軍は完全撤退した。
いまは静観している中国も、欧州への輸出など深刻な影響は避けられそうにない。
また戦争はお金がかかるだけではない。人命というかけがえのないものを、大量に失ってしまう。ウクライナ戦争で誰が勝っても、誰も得をしないのだ。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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