ウクライナ戦争はいつ終わるのか?
社会・2022-12-22 20:30ゼレンスキー大統領は戦争がはじまって初めて母国を離れ、米国のバイデン大統領と会った。
バイデンは2400億円規模の軍事支援や高性能迎撃ミサイル「パトリオット」の供与を約束した。
米国では「支援疲れ」が表立っており、バイデン大統領は、このまま大規模支援を続けるアピールをした形だ。
また演説でゼレンスキーは「正しい平和とはウクライナの主権や自由・領土の妥協を意味しない」と語った。
一方、ロシアではプーチン大統領が「資金に制限はない。政府は軍隊が求めるものをすべて与える」と演説した。
さらに核弾頭を掲載できるICBM「サルマト」を実戦配備するとも語っている。
ウクライナとロシアの戦争は一向に終わる気配がない。いつ終わるのだろうか?
ゼレンスキーは、ドンバス地方やクリミア半島を奪還するまでやめそうにない。
プーチンもクリミアまで返すと、ロシア国民にしめしがつかないのでやめるわけにはいかない。いまのところ妥協点を探すのは難しい。
「戦争は始めることはたやすいが、終わらせるのは大変だ」という言葉があるが、どちらかが、明らかに勝つか負けるということがない限り、ウクライナ戦争も終わりそうにない。
またいま戦争をやめても、それは次の戦争への準備期間を与えるだけに過ぎない。
もしロシアがいまの占領地区を保証するならと言ったとしても、その地域にも多くのウクライナ人が住んでおり、ウクライナがそれを認めると、残された人々を見捨てることになるので、ウクライナにしてもできない相談だ。
ただ、戦況はウクライナ有利に進んでいる。
英国防相の情報では、かなりの地区を奪い返しており、ロシア軍は兵器不足に悩んでいる。
ロシア軍は1000台以上の戦車をすでにウクライナで失い、50年以上前の戦車であるT-62戦車等を数百両も引っ張りだしている状態にある。
砲弾不足も深刻で、来年1月にはほとんどの砲弾を使い切り、頼りはベラルーシや北朝鮮、イランからの輸入ということになりそうだという。
こうなると当然、ウクライナ軍は負けるとは絶対思っていないはずだ。
よってウクライナから停戦の申し入れは、まずないと思っていいだろう。
もはやかなりボロボロ状態のロシア軍だが、プーチンもまたこの戦争をやめる気はない。
ロシアはソ連時代、第二次世界大戦の独ソ戦で1000万人以上もの犠牲者を出して勝利した経験がある。
ロシア軍にとって、兵の命は召集令状より軽いのだ。
プーチンはロシア兵が何十万人死のうが気にしないだろう。
よってプーチンは、ロシア軍が明らかに負けたとなるまで、戦争をやめないと思われる。
NATO諸国の中には、物価高騰のためウクライナ支援をやめたいと思っている国も多いはずだ。
野党である米国共和党は下院では中間選挙で過半数をとった。
その共和党は、ウクライナ支援の縮小を主張しているのだ。
プーチンはそれらを待っているのかもしれない。
よってこの戦争はまだまだ終わりそうにない。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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