東日本大震災の自衛隊と米軍の活躍に思う

社会・2022-10-21 22:07
東日本大震災の自衛隊と米軍の活躍に思う
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沖縄の基地反対について何かと話題になっている。「米軍は沖縄から出ていけ」または「自衛隊は出ていけ」という主旨であるらしい。その賛否はともかく、沖縄の米軍で思い出すのが、2011年東日本大震災の救援活動だ。

3月11日の大震災は日本を、そして世界を揺るがす大災害であった。我が国日本にとって、この災害は第二次大戦の敗戦以来の危機であった。

この1000年に一度の大災害は、日本政府の危機管理能力の無さを見事に露呈してしまった。しかし自衛隊や米軍の活躍は目覚ましかった。日本政府が右往左往している間に、自衛隊と米軍が、素早く救援活動を開始したのである。

自衛隊については阪神淡路大震災の反省から、災害や人命救助が認められた場合、ただちに都道府県知事などの要請を待たずに、自主派遣できるようになったことが大きかった。

米軍は復旧には仙台空港を最適として、16日仙台空港に第353特殊作戦群第320特殊戦術中隊を派遣、わずか6時間で瓦礫撤去や管制塔復旧を行っている。

そして自衛隊と連携した支援作戦「トモダチ作戦」に、人員約 2万4000名、航空機約189機、原子力空母「ロナルド・レーガン」を含む艦艇約24隻を投入。

提供・輸送してくれた物資は、食料約246トン、水約813トン、燃料約120トンに達した。米軍の作戦経費は,最大で8000万ドル(約68億円)であった。

米軍や彼らが運んだ支援物資はどこから運ばれてきたか?

そのほとんどは沖縄からである。

直接命がかかっている被災者の皆さんにとって、米軍の支援はとてもありがたいことであったに違いない。

そして震災時に大きく評価を上げたのが自衛隊であった。約23万人の隊員のうち、この震災で半数近くの10万7千人が支援や救助活動を行ったのだ。自衛隊員の半数近くが動員されたことになる。

自衛隊の行動も早かった。地震発生の14時46分から4分後に防衛省内に防衛省災害対策本部が設置。9分後には、訓練中の哨戒機P3Cに被害状況確認の指示。さらに14時58分には、横須賀と青森の大湊基地の出港可能な全艦艇に緊急出港指示が出された。

自衛隊が行った活動は,人命救助・不明者捜索・物資輸送・瓦礫撤去・道路復旧から,給食・給水・入浴・医療支援まで実に多岐にわたっている。

震災直後に自衛隊と米軍施設がある横須賀市が行った市民意識調査では、米軍基地が「あった方がよい」と答えた人が2008年では17.6%であったのに対し、34.7%と爆上がりしている。

翌年3月の「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」によると、東日本大震災に関わる自衛隊の災害派遣活動を「評価する」と答えた人は97.7%に達した。自衛隊の印象について「良い」と答えた人は91.7%で、1969年の調査開始以来、過去最高となった。

沖縄で米軍基地や自衛隊に反対している人は、それなりの理由があってのことだろう。あくまで個人的意見だが、筆者はこのときの感謝の気持ちを忘れない。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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