五輪外交的ボイコットで問われる非人権国家との付き合い方

社会・2021-12-09 18:02
五輪外交的ボイコットで問われる非人権国家との付き合い方
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米国ホワイトハウスのサキ報道官が、「バイデン政権は北京冬季五輪パラリンピックを外交的ボイコットする」と表明した。「外交的ボイコット」とは聞きなれない言葉だが、どういうものなのか?

外交上の用語としては、明確に定義はされていない。「選手団は派遣するが、政府の代表を送らないことで、国としての祝意を示さない」というものであるらしい。

過去のボイコット例では、1980年モスクワ五輪に西側諸国や中国が、選手の派遣を中止し、その報復に1984年のロサンゼルス五輪では東側諸国が選手の派遣を取りやめたことがある。

そのような事態を避けるための手段であるらしいのだ。すると当然、中国は大激怒。中国外務省の趙報道官は、「断固たる対抗措置をとる。米国側は間違った行動の代償を払うことになるだろう」と、何らかの報復も辞さずといった姿勢だ。

米国に続いて、オーストラリア、英国、カナダが「外交的ボイコット」を表明。イタリアは「外交ボイコットはしない」。日本はというと、8日の時点で松野官房長官は「まだ何も決まっていない」と語っている。

米国の外交ボイコットの理由は、新疆ウイグル地区の大量虐殺や人権侵害としている。米国の態度は、現在人権侵害が行われているからというが、米中覇権抗争の嫌がらせだろう。

ちょうどいま、中国共産党幹部から性的関係を強要され、消息不明になった女子テニスプレイヤーの彭帥(ほうすい)選手の事件もあり、人権問題が攻撃の糸口になっている。

日本は中国やロシア、北朝鮮といった非人権の平和的とは言えない国がお隣にあり、米国のような強い態度を示すことが、日本政府にはできるかどうか……

また中国とは、尖閣問題や台湾との関係、経済問題がある。今回は適当に中国のメンツを立てつつ「なあなあ」でやりすごすのではないだろうか?

日本政府は人権問題にあまり関心はないであろうし。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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