「おぐらが斬る!」減る暴力団 増える半ぐれ 変わりつつある裏社会

社会・2023-04-26 21:07
「おぐらが斬る!」減る暴力団 増える半ぐれ 変わりつつある裏社会
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暴力団員が年々減っている。全国の暴力団構成員や準構成員は、2021年末時点で2万4100人。17年連続で減少し、統計が残る1958年以降で過去最少を更新中だという。

それはそうだろう。1992年に施行された暴力団対策法や2004年以降、全国の都道府県で制定された暴力団排除条例などによって、暴力団のシノギ(経済活動)がどんどんできなくなっているのだ。

いまや暴力団員は、銀行に口座も作れない。自動車や住宅のローンも組めない。スマホ契約もできない。民間の保険にも入れないのだ。

暴力団関係にくわしいジャーナリストに聞くと

「かつて暴力団のシノギであった飲食店のみかじめ料は激減しました。ダフ屋はデジタルチケットの普及でほとんど見なくなった。売春もダメで経済的にはどんどん苦しくなっていますね」

地元に密着し、組の看板を出すことで存在をアピールしてきた日本の暴力団は、海外のマフィアのように地下に潜って秘密結社化しづらい一面もある。しかしいまや名刺に所属暴力団の名前を刷って暗に「オレのバックには組がいるぞ」というアピールすることもやりにくくなった。

暴力団が激減している中、半ぐれと言われる暴力団に所属しない犯罪グループが増えてきた。

半ぐれは従来の暴力団のように、組長の家に住み込んで掃除や行儀作法を教わる“修行”などいらない。

元暴力団員で服役経験もあるユーチューバーの懲役太郎氏によると「ヤクザの若い衆は茶髪なんか許されない」のだそうな。半ぐれにはそんなものはないので、ファッションはとても派手だ。

いまの若い不良系も、それを知っていて修行など嫌だから組には入らず、半ぐれに入る。

また近年よく聞くオレオレ詐欺は半ぐれがはしりだ。半ぐれは警察が把握しているだけで、約60グループ、約4000人いると言われている。

警察では半ぐれを「準暴力団」としているが、暴力団ではないので暴対法や暴力団排除条例も適用されない。そのため暴力団が半ぐれを利用したり、新しく入門してきた若い衆に盃を与えず半ぐれ状態のままにしておくこともあるという。

半ぐれは暴対法などの規制対象になっていないが、やっていることは暴力団と変わらない。

このまま暴力団は衰退し続け、半ぐれに取って代わることになるのだろうか? あるいはやがて半ぐれにも暴対法や暴力団排除条例が適応され、半ぐれも減少していくのだろうか?

もしそうなっても「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」という言葉があるがごとく、別の悪の組織や形態が出てくるのだろう。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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