「おぐらが斬る!」7万年前 火山の爆発で人類は絶滅寸前だった

エンタメ・2023-05-26 23:12
「おぐらが斬る!」7万年前 火山の爆発で人類は絶滅寸前だった
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昨年の11月世界人口は80億人を突破した。そんな現生人類ホモ・サピエンスだが、いまから7万年~7万5000年前、現生人類はわずか2万人~2千人にまで減少したことがあるのをご存じだろうか? まさに絶滅寸前まで追い詰められていたのだ。

現生人類がそこまで追い詰められた原因は、インドネシアのトバ火山が大噴火を起こしたため、火山灰が地球上の大気に飛び散り日光を遮断。地球の気温は平均5度下がり寒冷化が起こったからだ。

たかが火山の爆発でと思うなかれ、1991年フィリピンのピナトゥボ火山の噴火で、その2年後、日本では米が不作になり『平成米騒動』が起きている。

しかも約7万年~7万5000年前に起こったトバ火山大噴火の寒冷化は6000年も続いたのだ。この長く続いた寒冷化のために、我々と同じ人類であるホモ・エルガステルやホモ・エレクトゥスなどが絶滅。

生き残った人類は、現生人類とネアンデルタール人、ネアンデルタール人と近い系統のデニソワ人のみとなってしまった。

さて生き残った現生人類は南アフリカの海岸で暮らすことになる。海岸は魚貝類などが手に入るため、草原より暮らしやすかったようだ。

そしてこの時期、現生人類は防寒のために衣服をまとうようになったことが、現生人類に寄生するシラミの遺伝子研究からわかっている。

現生人類が衣服を着るようになってから、それまで頭に寄生していたアタマジラミから衣服に寄生するコロモジラミが派生したことがわかったからだ。

さらにこの時期、現生人類の脳が急速に進化し、複雑な会話をすることや絵を描くこと、目に見えない神や死後の世界などを想像するようになったようだ。

大脳が発達した人類は、やがてこれまで以上に行動的になり、より豊かな狩猟採集の場を探して、アフリカ大陸を出て全世界へと散らばっていく。

もしトバ火山が噴火せず寒冷化していなかったら、現生人類は今でも難しい会話もできず衣服も着ず、アフリカの草原でチンパンジーやゴリラのように決まった地域で暮らしていたままだったのかもしれない。

アフリカを出た人類は、先に世界進出していたネアンデルタール人やデニサワ人と交雑し、日本にたどり着いたのは、約3万8000年前。

かつて絶滅寸前であった現生人類は世界中に広がり、いまでは月や火星に移住する計画もあるほどになった。

そしてまたいつ火山の大爆発が起きて絶滅の危機にさらされるかもわからない。恐竜が絶滅したのは直径約10キロメートルの隕石が地球にぶつかったからだ。

火山の噴火も隕石も、いまの人類では止めることができない。我々現生人類はいつまでこの繁栄を謳歌できるのであろうか。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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