旅をするサル 7万年前、ホモサピエンスに何があったのか?

社会・2021-05-29 10:11
旅をするサル 7万年前、ホモサピエンスに何があったのか?
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ホモ・サピエンスは約20年前に誕生したとされる。しかし7~8万年ほど前、急激な寒冷化のため約2千人に減少、絶滅寸前となった。

この時期にサピエンスは脳が突然変異し、絵を描くようになったり複雑な言葉も獲得したらしい。つまり急激に頭が良くなった。サピエンスが服を着るようになったのもこのあたりからだという。

この時代、ネアンデルタール人やデニソワ人といった他の人類はすでにユーラシア大陸に進出しており、ネアンデルタール人はもっと古くから服を着ていたというから、この時代までサピエンスは彼らより劣った人類だったようだ。

約5万年前、サピエンスはようやくアフリカからユーラシアに進出する。サピエンスの先祖であるホモ・エレクトスは約50万年前に出アフリカを果たし、アジアに拡散しているから、相当な遅れである。

ヨーロッパにはホモ・サピエンスより先にネアンデルタール人が住んでいた。ネアンデルタール人は体力も知能もサピエンスより優れていたと言われているが、サピエンスほど言語が発達していなかったという。

また、狩猟の仕方も石器や棍棒で大型動物と直接戦って狩るのに対して、サピエンスは弓矢や槍など、飛び道具を使っていたという。おそらくサピエンスは、複雑な言葉を使ったチームワークと、飛び道着でネアンデルタール人の縄張りを侵食したり駆逐していったのだろう。2万数千年前にネアンデルタール人は絶滅している。

ただ、出アフリカを果たしたホモ・サピエンスの遺伝子には、数パーセントほどネアンデルタール人の遺伝子が残っているから、交接していたことは間違いない。

人類は他のサルと違って旅するサルである。チンパンジーやゴリラは決まった場所に定住しているままだが、人類、特にホモ・サピエンスは1万年前には地球のあらゆる場所に拡散しており、いまでは宇宙にまで旅をするようになった。

こんなことを考えていると実におもしろい。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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