昔は良かった」は本当か?

社会・2020-11-02 17:22
昔は良かった」は本当か?
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「昔は良かった」という人は多い。本当だろうか? もっとも人によって昔のイメージが違う。そこでここではいう「昔」を戦後から戦後昭和と平成時代あたりとしておこう。
また、個人個人によって時代の良し悪しは違うので、社会全般の統計や記録を中心に考えてみたい。

例えば犯罪だ。しかし犯罪全般となると、ちょっとした統計のトリックがあって、警察が盗難自転車や万引きを積極的に検挙すると犯罪率は激増する。軽犯罪は重視せず、凶悪犯罪を重視すると、全体的な犯罪率は低くなるので、もっとも暗数(実際の数値と統計結果との差)が少ない他殺による死亡者数を見てみよう。

もっとも殺された人が多かった年は1955年で2119人。その後減少して2019年は293人まで激減している。

自殺はどうだろう? 昭和と現在では人口が数千万人ほど違うので自殺死亡率で見てみよう。
自殺死亡率とは10万人に対する自殺者数のことだが、戦後、自殺率が最も高かったのは1955(昭和30)年から1958(昭和33)年にかけてである。1955年がピークで38.5。この数値は、1998~2011年までは毎年3万人以上の自殺者が出た頃よりも高い。ちなみに2019年は16.0。

多くの人がノスタルジーにひたった映画『オールウェイズ 三丁目の夕日』は1958年(昭和33)の時代は現在より7倍以上殺人が多く、2倍以上自殺が多かったらしい。

電化製品は言うまでもなく、現代の方が圧倒的に便利に安くなった。テレビが普及しだした1960年だと、大卒初任給が1万800円の時代、白黒テレビ5万8千円。

80年代に普及しだしたファクシミリは、家庭用サンヨーファクシミ sanfax miniのお値段は75万8000円。

パソコンが普及した1995年、1台24万4千円。昔はスマホも携帯電話もなかったが、あるからといって昔はダメということはないだろう。昔は良かった論は人によってそれぞれ。皆さんはどうお考えだろうか?

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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