知的障害と犯罪

社会・2020-11-18 17:30

報道を観ていて「なぜこんなすぐにバレる犯罪をするんだろう?」と不思議に思うことがある。この答えは犯罪者たちの認知能力の低さにある。

受刑者の知的障害者は約20%いるらしい。知的障害とはIQ69以下の者をいう。受刑者の5人1人が知的障害者ということになる。
他にもIQ70~84の人を境界知能というが、知的障害者と境界知能の人を合わせると、受刑者の半数近くになるという。

また、知的障害の問題は、対人スキルと関係する。相手の言っている意味が理解できない。誤解をする。当然、人とうまくいかない。仕事をしても、上の人が何を言っているのかわからない、融通や応用が利かないので失敗を繰り返す。そうなると失業を繰り返すということになりかねない。

さらに計画が立てられない、後先が考えられないから、何かを欲しいと思ったとき、お金を貯めて買うよりも、安直に盗むという方法をとってしまう人もいる。知的障害者の犯罪としてもっとも多いのが、万引きである。次いで侵入犯、無銭飲食も多い。

再犯で刑務所に入る人も多く、65歳以上の受刑者だと釈放されても5度以上戻ってくる人が7割近くを占める。

もし少しでも犯罪を減らしたいのであれば、こういった知的障害等の人たちに対していかに手厚く支援をしていくかに尽きるだろう。実際、刑務所が、最後のセーフティネットになっている場合も少なくない。

最期に、知的障害者が中卒者=犯罪予備軍などと思わないことだ。

実際に知的障害者で刑務所に行くのは、ほんの一部の人であり、刑務所以外に居場所がないという人も少なくないという。刑務所を最後の福祉の場にしてはいけないのだ。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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