健康不安商法に気をつけろ!

社会・2020-10-30 17:23
健康不安商法に気をつけろ!
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健康に気を配っている人は多いことだろう。しかしちょっと気を付けてほしいこともある。世の中には、健康不安を煽って効果が無い、ときにはむしろ有害な商品を売ろうとしている企業は少なくない。

例えばお酒を飲む人は二日酔い防止や肝臓を守るために「ウコン」のドリンクやサプリを愛用している人も多いかと思う。しかしウコンが本当に二日酔いに効くかどうかは、まだわかっていないのだ。

それどころか、日本肝臓学会が調べたところ、薬剤性肝障害の原因薬物としてウコンは報告件数が最も多く、全体の25%を占めていることがわかっている。肝臓のためにと思っていたら逆に肝臓を傷めていたというわけだ。

次いで多かったのが、がんに効くという【噂】のアガリクスであった。05年には『即効性アガリクスで末期がん消滅!』という本を出版した出版社役員が逮捕されるという事件もあった。その本に書かれていた「がんが治った」という69人の体験談すべてが作り話だったのだ。こういう健康食品のデタラメな話はときどき耳にすることでもある。

この日本肝臓学会の調査によると、薬物性肝障害の人のうち91%が健康食品や民間薬をほぼ毎日飲んでいたのが原因というから恐ろしい。

食品添加物は体に悪いと思っている人も多いが、科学的根拠はまったくない。逆に反対に安全だという科学的根拠は山ほどある。一番わかりやすいのが防腐効果だ。昔は食中毒で亡くなる人がたくさんいたが、いまではほとんどいなくなった。むしろ無添加食品のほうがはるかに危険といえる。

スーパーに行くと「無添加」と書かれたラベルが貼られた食品をたくさん見るが、これも多くは嘘である。これは保存料など、一部の食品添加物を使っていないだけで、他の添加物で代用している場合がほとんど。客の「食品添加物は健康に悪い」という思い込みを逆に利用している商法と思っていい。

健康を思うなら、むしろ健康食品ではなく、バランスをとれた食事に気をつけた方が良さそうだ。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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