スシロー迷惑行為者の最終的被害者はぼくたちだ

社会・2023-02-02 18:02
スシロー迷惑行為者の最終的被害者はぼくたちだ
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ツイッターなどのSNSが一般化したことで、自己承認欲求を満たすために悪ふざけ画像や迷惑動画をアップし、一生をフルスィングで棒に振る若者が後を絶たない。

中にはバイト先のステーキ店にあった、大型冷蔵庫に入っている様子をツイッターに投稿、すぐに炎上、店側はそのバイトくんに2000万円の損害賠償金を請求。示談で500万円程度になったようだが、そのお店は一週間後に閉店してしまった。
ほんの悪ふざけのつもりが、店を一軒潰し、加害者は実名、通っていた学校名も晒されてしまい、その学校にも非難の電話がたくさん来るしまつであったという。

他にもコンビニ店長の息子がアイスクリームを入れる冷凍庫に横たわる映像を投稿。そのコンビニ店は本社から契約を切られ閉店した。その後、この家族がどうなったのかはわからない。

有名大学の学生が悪ふざけ動画を投稿し、退学になったり就職内定取り消しになった例もある。

今回の事件では「スシロー」という回転寿司屋の醤油ボトルや未使用の湯飲みをぺろぺろと舐めたりするようなものだが、スシローのみならず、回転寿司業界のダメージの大きさははかり知れない。

スシローの加害者は高校生で、親も一緒に謝罪に店に訪れたようだが、謝ってすむような問題でおさまりそうにない。
この事件後、スシローの株価が168億円も下落したのだ。
この株価の下落や、今後の売り上げ下落を加害者に請求することはできないだろうから、被害を受けたスシローはじめ回転寿司業界はいい迷惑どころではないだろう。

また、加害者の迷惑行為を撮影したのは父親ではないかという噂がネットに飛び交っている。
これはあくまで噂のたぐいなので、本当かどうかはわからないが、デマだとしても、その父親、そして加害者の家族の被害も実に大きいものになっているだろう。

もしかしたらその父親は、勤め先にいられなくなるかもしれず、家族もいままで住んでいた町に居づらくなってくるかもしれない。

「デジタルタトゥー」という言葉をご存じだろうか、一度入れたタトゥー(入れ墨)が一生消えないように、一度炎上してしまった動画や事件、さらされた実名などは消すことができないのだ。たとえそれがデマや嘘だったとしてもだ。

今回の事件の加害者は、今後就職のときや、結婚のときに今回のことが引っかかってくる可能性がある。

いま、他の飲食テロやバイトテロも、次々と暴かれ多くの人の怒りをかっている。

うどん店チェーン「資さんうどん」で、店内に置かれた共用スプーンで天かすを食べる迷惑行為を収めた動画が、SNSで拡散された。
今後、「天かすはご自由に」というサービス文化が激減する可能性がある。

回転寿司なら「ガリやお茶はご自由に」とか、他の飲食店なら「お水はご自由に」という食文化にも影響を与えるかもしれない。

だとしたら、今回のような迷惑行為の被害者は、飲食店にとどまらず、そういった店を利用する我々でもあるのだ。

今回の加害者がどれくらいの損害賠償を請求されるかわからないが、これからも同様の騒動は起き続けるだろう。
こういうことをする人は、いくら教えたとしてもことの重大さを理解できないし、できたときは事件を起こして問題化してからなのだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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